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CBRアジア太平洋ネットワークの日本のネットワークに関する意見交換会
まとめ
日時:2009年10月11日(日)午後3時45分―5時
(13時から15時30分までJANNETによるCBRと開発の研究会開催)
会場:戸山サンライズ2階大会議室
参加者:45名(CBRにかかわった人、CBRに関心のある人、NGO,
リハビリテーション専門職、障害者団体、大学教員、学生など)
■ 意見交換会のまとめ
配布した資料(CBRアジア太平洋ネットワークについて:これまでの経緯、日本国内でのネットワークの構想など)をもとに意見交換を行った。
1.CBR アジア太平洋ネットワークへの期待
- CBRの現場で活動する人への後方支援として、CBRの知識、技術などに関する情報提供。経験の蓄積ができるとよい。
- 日本での研修コースに参加する人は多い。帰国後の現地でのフォローアップがされているかどうかが課題なので、現地のネットワークとつながることに役立つとよい。
- ドナー団体に所属しているが、アジアでの障害者支援では、現在ASEANを中心に実施している。できることは限られているので研修生の活用も考えている。他のドナーも国連機関もインクルーシブを推進しないと限界がある。ドナーの方向を変えていくような活動になることを期待する。啓発活動は取り組みやすい。
- CBRネットワークが目指すことと権利条約、ESCSAPの方向性が同じなのでわかりにくいが、Community Based Inclusive Developmentを前面に出すとわかりやすいし、そうしてほしい。
2.国内でどのようなところに働きかけるかについて
- 学会での広報が用意された資料に書かれてあるが、11月の開発学会では森さんとCBRを企画する。すべてをインクルーシブにするということを鮮明に出せるとよい。
- 地域福祉学会は気付き始めており、多分野間のコラボレーションの必要にCBRとはいわずに含めている。ソムニードという開発NGOには福祉の経験のあるスタッフがはいっている。
- 世界のOT学会、PT学会ではCBRに関するポジション・ステートメントを出した。3月7日に国立国際医療センターで開催予定の国際保健医療学会ではCBRや開発の視点を盛り込みたい。
3.国内のネットワークの名称案
- CBRに「R」があることで、CBRがリハビリテーションに限定されているイメージがあった。開発分野を含むより広範囲な人たちとかかわるため、国内ネットワークの名称にCBRを使わないことで多くの賛同があった。しかし検索しやすいためにはCBRを残したほうがよいとの意見もあった。
- 合意されたことは、WHOが主張しているCBID(Community Based Inclusive Development)を取り入れることで、それにより地域社会開発における戦略であることが鮮明になる。
(注:CBRが地域社会開発における戦略であることは1994年版CBRジョイントポジションペーパーご参照。)
4.今後のすすめかた
- 本日をもって、CBRアジア太平洋ネットワークに呼応する日本のネットワークのスタートとすることで参加者の賛同を得た。
- CBRのAPネットワークの規約案、行動計画案については、ボランタリーなワーキンググループを設置して検討することとした。さらなるご意見はワーキングループメンバーまたは事務局までご連絡いただきたい。
- 立候補によるメンバーは次のとおり。(50音順、敬称略)
- 石井博之、国際医療福祉大学、JOCVリハビリテーションネットワーク
磯部陽子
大野純子
河野 眞、国際医療福祉大学
千葉寿夫、日本財団
沼田千子、日本発達障害福祉連盟
野崎泰志、日本福祉大学
野際紗綾子、難民を助ける会
十八公宏衣、笹川記念保健協力財団
渡邊雅行、日本CBRネットワーク
*事務局:上野悦子、JANNET
5.最後に事務局(上野)による総括
これまで日本のCBR支援、またはCBRの勉強会は様々な団体、グループにより行われてきた。JANNETは1993年の設立以来、CBRでは世界の著名な方々(David Werner, Padmani Mendis, Maya Thomas, Noman Khan, Nazumul Bari, Malcom Peat)を迎えてセミナーを開催してきた。またJANNETのメンバーの中にもメンバー外にもCBRの勉強会を開催してきた組織・グループがいくつもあるが、それらが一堂に集まる機会はこれまでなかった。CBRに関する国内ネットワークに参加することでCBRの目指す方向や様々な課題について共有できる場ができたと言える。
共通していたことは、CBRの戦略としてWHOが主張しているコミュニティベースのインクルーシブ開発を前面に出すことで、ドナー、国際機関とも共通認識を持ちやすくなると言えるようだ。
今後、ネットワークでの議論はオープンにし、本日参加していなかった人でも共有できるような方法を考えたい。
ワーキンググループでのディスカッションの経緯は、参加者にオープンにしていく。
当面予算はないので、あらゆる可能なリソースは使っていく。配布した資料集にあるように、今それぞれが持っている情報を集めてデータベースの作成をJANNETのHPで検討する。情報を寄せていいただくか、リンクをお願いしたい。
また、JANNET事務局のある日本障害者リハビリテーション協会では、2010年2月14日にWHOのCBR担当チャパル・カスナビス氏を講師とするセミナーを開催するが、当日配布する資料として、日本がかかわるCBR支援の事例集を作成したいので、皆さんのご協力をお願いすることをお知らせした。
以上。
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