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2009年度JANNET総会
議事録
日時: |
2009年5月30日(土) 午前10時から11時45分 |
場所: |
JICA地球ひろば 3階 セミナールーム301号室 (電話 0120-76-7278、03-3400-7278 ファックス03-3400-7264) |
出席者数: |
正会員(団体16、個人6)、委任状11の合計33団体/個人で、過半数の26を超え、総会は成立した。
参加者数は、オブザーバーを含めて36名であった。 |
■ 議事録
1.報告事項
1-1 各会員の活動紹介:自己紹介を兼ねて各会員から報告した。
1-2 会員の動向:資料1により事務局から説明。
2.検討事項
2-1 退会した役員(山崎眞由美さん)の後任人事について
役員会では、山崎さんの所属団体であるAHI(アジア保健研修財団)から推薦のあった清水香子さんを残任期間の役員として推薦し、承認された(資料1)。
2-2 平成20年度事業報告・決算案
平成20年度事業報告案に関する会員からの質問は次のとおり。
- 質問:
- 会員拡大について、NGOに呼び掛けたとのことだが、どこへ問いあわせ、どのようなフォローをしたのか。
- 回答(事務局):
- JANIC(国際協力NGOセンター)の名簿から障害に関連がありそうな領域(教育や保健など)で活動している団体に書面で勧誘を呼びかけた。その結果は1団体の個人が個人会員になった程度。役員でフォローしてもらったがあまり成果はなかった。
- 質問(会員拡大の関連):
- 会員拡大はメリットを評価してもらえれば、JANNETの認知度のアップにつながる。本日の活動紹介は大変おもしろかったが時間が不足。もう少しじっくり話を聞きあい、学びあうメンバー内の勉強会の機会を企画してはどうか。
- 松井会長:
- 会員相互交流の機会を検討することとする。
- 質問:
- 決算案について質問したい。JANNETの事務局の負担は大きいと思うが、人件費はどうなっているのか。助成金をとる予定はあるか。
- 回答(事務局):
- 人件費と事務所経費は事務局である 日本障害者リハビリテーション協会が協力している。
その他の活動に関する報告は次のとおり。
- CBR会議(2月18日〜20日)については、総会後に沼田さんから別途報告。
- CSR推進NGOネットワークの勉強会について(福山さん)
JANICがイニシアチブをとって設立されたもの。CSRというのは、企業の社会的責任といわれているが、ここではあくまで国連MDGs(国連ミレニアム開発目標)達成のために企業とNGOがどのように連携できるのかを目標としている。しかし、企業側は、依然、不祥事から企業を応援するなどの視点にあり、国際協力にいくにはまだ非常にハードルが高い。そこで、「CSRの定義とは何か」から勉強し認識をすりあわせすることを目的に、外務省主催で二ヶ月に一回開催されたのが昨年平成20年度の内容。第1回が事務局の上野さん、第3回は、日本発達障害福祉連盟の沼田さん、残りの4回は私(福山)が参加した。
今年度からは企業とNGOはこれからどのような関係を構築できるかとういうことで、先日21日に今年度の第一回が開催された。
今年度第一回目(5月26日)の報告(代理出席した上野より):今回の企業の参加は、パナソニック、ソニー、電通、花王などでNGOと対話をしたいという意欲が感じられた。中野民夫さん(博報堂)の司会でワークショップ形式で対話するという大変面白い試み行われ、今後、企業とNGOとの連携の基準づくりをしていこう、ということになった。今年度は3年連続の二年目にあたる。
・ネットワークNGO全国会議(4月12日、13日開催、報告は事務局上野より):ネットワーク型NGOの運営など参考になることの多い有意義な会議だったが、JANNETが参加していた分野別はH20年度で終了。地域別については、参加しておられる小俣さんを通じて情報を共有できるとよい。
・グローバルフェスタ(10月4日、5日、日比谷公園にて開催。2人から報告)
毎年10月JANICと国際協力機構が、NGOとGOとの共催により開催している、国際協力に関するフェスティバル。
- 全体報告(柳原さん):
- 昨年は、ヒーリングファミリー財団佐賀ネットワークセンター、ジャカルタ・ジャパン・ネットワーク、私どもネグロスバギープロジェクトの3団体が中心にJANNET会員も加わりJANNETブースを担当し、それぞれの物品販売と、JANNET参加団体のパネル展示、JANNET発行の報告書販売やチラシの説明等を行った。ブースに参加した学生たちの視野が広がり、参加者間での連帯感を分かち合う場にもなった。今後はブースに立ち寄ってくれる人たちと世界の障害者をつなぐ工夫ができるとよい。
- ワークショップについて(福山さん):
- 初日の午後にワークショップを開催、約40人が参加。私のJANNETの活動紹介に続き、インドのジャンキ・アッカーニさん(ダスキン・アジア太平洋障害者リーダー育成事業第10期研修生)がインドにおける障害者事情、特に視覚障害者事情について報告した。なお、JANNETのグローバルフェスタへの参加は、以前から和田さんのイニシアチブで継続している。
・JANICの第1回JANICラボラトリー20081月(金澤さん):
JANIC主催の開発に関する連続勉強会(第1回JANICラボラトリー2008)に、JANNETから費用を出していただき参加した。NGOの視点から援助の先端的な問題を取り上げ、それぞれのテーマに関する第一人者から、たとえば、アフリカや水についての問題を学ぶことができた。ただし、実際の参加者はNGO関係者と援助関係者ではない人が半数ずつであったということもあり、普段援助の第一線で働いている人の視点で議論が深まらなかった点が残念だった。全6回参加して修了証書をいただいたので感謝とともに報告する。
以上の質疑を経て、平成20年度事業報告案・決算案は承認された。
2-3 監査報告
監事のひとり、安川雄二氏から5月20日に行われた監査結果を報告した。
2-4 平成21年度事業計画案・予算案
会員からの質問・コメントは次のとおり。
- 質問:
- 会員拡大についてはこれまで役員中心に行われたと聞いたが、会員全員で取り組んではどうか。シャプラニール=市民による海外協力の会の例では、スタッフ全員で取り組み、5年間で会員が8倍になったと聞く。
- 質問:
- 3-6の国際会議への参加について、障害に特化した会議のみが挙げられているように見えるが、メインストリーミングを考えると一般の会議に参加して、障害分野のプレゼンスを高めてはどうか。一例では6月にジュネーブで開催される国際防災会議など。
- 関連質問:
- 上記コメントに賛成。国内で開催される一般的会議でも障害から参加して話をしてはどうか。マスコミ利用も検討してはどうか。
- コメント:
- 私たちは何をアピールしたいかを明らかにすべき。
クラスター爆弾について、ご報告を聞き少し理解することができた(JCBL(地雷廃絶日本キャンペーン)事務局長の報告:昨年11月、クラスター爆弾を禁止する条約が成立した。クラスター爆弾は「第二の地雷」と呼ばれ、親爆弾の中に子爆弾が無数に入っている上、不発率が非常に高く、犠牲者の圧倒的多数を一般市民が占める。条約の最大の特徴は、2006年に国連障害者の権利条約が成立した影響で、犠牲者支援が独立した条項として明文化されたことにある。発効後は、障害者施策のひとつのツールになっていくだろう。)
障害者権利条約にも関わるので、JANNETを利用していただき一緒に盛り上げていけるとよい。
- 事務局:
- 2年前にJCBLのご紹介でウガンダの地雷生存者、オレクさんをミニ研究会でとりあげたが、参加者が集まらなかった。今後もJCBLや他団体とも協力し広報を改善していきたい。
- コメント:
- 日本国際保健医療学会の学生部会には約800人のメーリングリスト会員がいるので広報協力をする。
- コメント:
- 会員拡大のためにはJANNETの認知度を上げること。JANNETへの参加にメリットを感じるかどうか。皆さんの活動報告は面白かったがこれまでお互いを知る機会がなかったのか。JANNET内部で学びあう機会をもてないか。そのような企画をしてもらえるとよい。
- コメント:
- 国内活動は大事。団体のエンパワメントになる。団体紹介をじっくり行う機会が実現したら、紹介が一面的にならないよう各団体から3人は参加するようにするとよい。これまでの活動は、グループ的に別々に行われたようで、全体でのグループディスカッションの時間がなかった。
- 松井:
- 基本的な問題提起はありがたい。
事業計画案の3-6にあるESCAP会議の参加者はIDA(国際障害同盟)などに限定された。その影響でJANNETからの派遣はできなくなったので今年度の事業計画には含めないこととする、と説明。ESCAPに対しては質問を行う予定。
3-6についての変更を反映させ、平成21年度事業計画案・予算案は承認された。
- 会長:
- 本日は貴重な意見をいただいた。どう取り入れるか検討する。
その他、以下の報告があった。
- ・日本ファンドレイジング協会の発足会議参加報告(田畑さん):
- 2月18日にあった日本ファンドレイジング協会の設立記念シンポジウムに個人として発起人登録し参加。ファンドレイジングの基本は、寄付をしてくれと頭を下げ、それに対し感謝すること。ファンドレイジングとは、役に立ちたいと思う人たちと、リソースを役立てる専門の知識を持つ人たちとの「幸せの橋渡し」なのではないか、というのが全体の話の流れだった。今後のファンドレイジングの連続研究会等にも参加し、学んだことをJANNETの皆さんとも共有していきたい。
- ・サステイナビリティ研究会参加報告(サス研、田口さん):
- 5月28日のサス研に参加し、花王のサクセス・ストーリーを聞く機会があった。結論として、NGOやCBRが積み上げてきた経験知を彼らに分け与えないと、CSRの浮き足立った流れに歯止めがかからなくなるという危惧を覚えた。中産層以上のニーズしか考慮されていなかったタイで、355人の日本人の商社マンが現地で暮らし手もみ洗剤を開発し売れたという。女性の暮らしへの変化などの視点がなく、あくまで市場の開拓という議論に終始した。これでは、CSRという大義名分の下でエコノミック・アニマル的活動が正当化されることにもなりかねない。NGOは、自らの経験に基づく情報を提供し、このような流れにきちんと介入していくべき。
- ・車いす寄贈関連活動を行う団体との意見交換会について:
- 事務局:
- 物流に関する活動を行っている株式会社サンライトは、ジョイセフ(家族計画国際協力財団)が自転車を途上国に送る活動に、輸送面で協力してきた。元々は企業として行っていた活動を、現在はNPOとして展開し、自転車輸送以外に協働したいNGOがあるかを検討している。そのため、障害関連団体を訪問しており、JANNETにも連絡があった。例えば、中古車いすの輸送への協力などを考えている、とのことである。
- 実際に訪問を受けた小俣さんからのコメントは次のとおり:
- 企業として、ビジネス拡大も狙いとするかどうか真意を確認する必要がある。そのうえで、車いす輸送を行っている障害NGOと課題(部品のサプライ、現地での配布、余剰問題など)も含めて建設的な意見交換の場が持てそうだと判断できれば、改めてJANNETで集まる機会を提案したい。
- コメント:
- 同じ考え。まずはJANNET主催で会議を開催し、車イスを配布したいという他の企業(鞄本ケアサプライ)や、途上国で活動する他のNGOも招いて意見交換会をおこなうのが良い。
- コメント:
- デリバリーや現地の道路事情は議論されても、車椅子が壊れた際の問題があまり議論されていない。日本のものは質が良く簡単には壊れない。きちんとした流通経路でのデリバリーさえできれば、それを通して現地で部品のサプライまで行うことが可能なので途上国でゴミにされることなく長く使ってもらえると思う。アメリカのWheelchair Foundationのように、デザインこそよいが質の低い安価な中国製車椅子を大量に贈っているものの、現地で生かされていないという悪い例もある。こうした例から教訓を学ぶ学習会も可能ではないか。
事務局ではサンライトの信頼性などを調べたうえで検討することとした。
以上。
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