JANNET 障害分野NGO連絡会

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第5回 CBRと開発の勉強会 報告

特定非営利活動法人
難民を助ける会
穂積 武寛

2月2日、『CBR:地域に根ざしたリハビリテーション』(M・ピート著、JANNET訳)のうち、第7章「CBRの評価」についての勉強会が開催されました。本章を翻訳した日本発達障害福祉連盟(JLDD)の沼田千好子さんが講師を務めました。

沼田さんからは、評価とは、事業の存廃について専門家が判断するための「試験」ではなく、全ての関係者が参加して行う、事業改善を目的とした「学びのプロセス」であること、また、事業そのものの成否もさることながら、事業の波及効果を見極めることも重要である、などのお話がありました。さらに、具体的な評価の実践例として、JLDDのカンボジアでの取り組みなどが紹介されました。

発表後の質疑応答では、「事業効果を認識しやすい評価とは何か」という点について様々な意見が出されました。事業効果の測定は、量的・質的双方の切り口で行わなければなりません。量的な変化は数値化すればよいのですが、問題は質的な部分です。「この事業を実施したことで、障害者の生活の質がこう向上した」ということは、どうしたら客観的評価データになり得るのでしょうか。難しい問題ですが、参加者からは、アカウンタビリティの観点からも数値化の努力はすべきであり、統計的手法を用いれば質的データも数値化は可能であるとの意見が出されました。他方、どんな数字を表に出すかは慎重に吟味すべきことや、評価それ自体が目的化しないよう、評価の仕組み自体はシンプルにすべきとの意見も出ました。また、効率が良ければ良い訳ではなく、意味のある評価を行うためには時間や労力が必要との指摘もありました。

言うまでもなく、CBRはそれを実施すること自体が目的ではなく、結果として地域の障害者のQOLが向上しなければ意味がありません。CBRの評価が、障害者の環境を改善するための次の具体策に繋がるよう、まさに関係者「全員」で知恵を絞っていかなければならないと感じました。

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