8月9日開催 <国際セミナー>
「『障害者権利条約』制定への最新の動き」
報告
全日本ろうあ連盟 常任理事 高田英一
                                                                  2004.8.29
 
「『障害者権利条約』制定への最新の動き」と題する「国際セミナー」(主催 日本障害者リハビリテーション協会、協賛 JDF(日本障害者フォーラム)準備会、後援 独立行政法人福祉医療機構)が200名を越える出席を得て京都市の社会福祉法人全国手話研修センター「コミュニティ嵯峨野」で、8月9日(月)に開催されました。
 この8月下旬から9月初めまで第4回特別委員会がニューヨークの国連本部で開催されるなど「障害者権利条約」に関わる動きは激しくなってきています。 国連における動きは重要ですが、それを支える国内での動きも負けず劣らず重要です。特にそれは国内の障害者全体の動きとすること、国民がそれを理解し支持できる状況にもっていくことが大切でしょう。そのワンステップとして、この「国際セミナー」が開かれたものです。

 それは、この2月26日に東京で開催された「国際セミナー」「権利条約制定への世界の最新の動き」をモデルとして、西日本での初めての開催となりました。国連エスキャップから障害専門官 長田こずえ氏、外務省国際社会協力部人権人道課 首席事務官小川秀俊氏等が出席されました。
 セミナーは、まず主催者を代表して松井亮輔日本障害者リハビリテーション協会副会長、地元を代表して高田英一全日本ろうあ連盟常任理事の挨拶で始まり、八代英太衆議院議員、テルマ・ケイ国連エスキャップ代表(代読)からも来賓挨拶を頂きました。
 そして小川首席事務官から第3回特別委員会に関わる特別報告があり、「国際人権のしくみ−人権条約の意義」と題する山崎公士新潟大学法科大学院教授の講演、「障害者権利条約、現在のポイント」とする長田障害専門官の講演が続きました。これで午前の部が終わりました。
 午後からパネルディスカッション、これには東俊裕DPI日本会議常任委員・弁護士、安藤豊喜全日本ろうあ連盟理事長、藤井克徳日本障害者協議会常務理事に加えて小川首席事務官がパネラーとして参加、楠敏雄氏(DPI日本会議副議長)、三田優子氏(花園大学社会福祉学部講師)の二人のコーディネートにより論戦を展開しました。またリソースパーソンとして長瀬修氏(全日本手をつなぐ育成会国際活動委員会委員長)と山崎公士氏から情報提供がありました。さらに指定発言者として嵐谷安雄日本身体障害者団体連合会理事、金政玉DPI日本会議事務局次長、指田忠司日本盲人会連合国際委員会事務局長、山本真理全国「精神病」者集団代表の発言がありました。
 論点は「障害者権利条約」における定義、合理的配慮、国際協力、モニタリング等に集中し、「障害者権利条約」の意義について理解を深める一方で、その限界と共に国内的には障害者権利法の必要性も再認識されたようです。長田障害専門官の報告によれば、来日の直前まで香港でのセミナーに参加、そこで障害者権利法が成立したこと、さらにその効果的実施のために実践マニュアルも開発されていることも分かったということです。これらの関係資料を日本でも翻訳すれば参考になるだろうと思います。
 この国際セミナーの開催決定は開催の1ヶ月前であり、準備期間も短く、西日本での初めての開催ということで参加者が揃うかどうか危ぶまれていました。しかしJDFに結集する団体がそれぞれの傘下組織を通じて行った強力な参加呼びかけが効を奏して目標通り、会場を満員にすることができました。また、講演、論議などの内容もよく、視覚障害者、聴覚障害者等に対する情報保障も完璧、車いすによる来場者に対するアクセスも十分配慮されるなど好評でした。このセミナーはCS障害者放送統一機構の「目で聴くテレビ」で全編、神奈川放送、埼玉放送、KBS京都でテレビニュースとして放送されました。また、報告書にまとめられ近いうちの刊行が予定されています。


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