JANNET 障害分野NGO連絡会

ここから本文

会員/関連団体からの報告・発信

■国際セミナー「障害者の起業活動とマイクロファイナンス」に参加して

日本財団 国際協力グループ
千葉寿夫

日本障害者リハビリテーション協会が3月29日(土)に開催した表題セミナーに参加してきました。「障害者の起業活動」に興味もち参加したのですが、「マイクロファイナンス」の視点も非常に大切な事が理解できました。

「社会起業家」、は最近注目を集めていますが、障害者の中にも「起業家」、と呼べる人が沢山いるのでは(?)、と私は内心思っています。社会起業家とは“医療・福祉・環境などの社会サービスをボランティアでなく「事業」として行う人・集団”(町田洋次著「社会起業家」)という事ですので、途上国の障害者リーダーにも充分あてはまると思います。ただいても数が少ない、もしくは資金難のため活動に制限がある、のが現状で、それを打破する方法は(?)、と悩んでいたところ、本セミナーが開催されました。

当日は、1)バングラディッシュやインドの「マイクロファイナンス事例」、2)フィリピンの「障害者の協同組合」、3)北海道の「NPOバンク」、と起業家を資金面でサポートする具体例が発表されました。障害者自身の活動はフィリピンの協同組合ですが、他は、障害者も含むいわゆる「社会的弱者」への金融支援かと思います。

中でも北海道の「NPOバンク」事例が面白かったのですが、本事業を端的に言えば、「公益事業団体に低金利(年利2%)で貸付を行う事業」と言えると思います。ただ年利2%というと、100万円を1年貸しても2万円の利益しかなく、事務局費用も賄うのが難しい、と言うことですが、しかし一方で、原資として既に5千万円(行政から2千万、NPO・企業・個人の寄付で3千万)確保しており、2002年の設立以来、融資総額は実に2億円。121件の主に福祉・環境系NPO、障害者共同作業所などに融資を行った、という事で、すばらしい実績だと思います。「茶畑にあるグループホーム」や「農場とレストラン経営」などが成功事例で、返済率も非常に良いことから、設立以来、活動は継続できている、とのこと。非常に興味深い事例でした。(詳しくはhttp://npobank.dosanko.org/を参照ください。)

資金調達は、市民活動にとっていつも悩みの種だと思います。それを支える方法として、日本財団のように「助成金」を用意する方法もありますが、「融資」として貸付ける方法も非常に有効的だと思いました。借りたお金に責任をもち、返済という緊張感の中で「事業」を実施することで、活動がより洗練されて行けば、公益活動支援のひとつの「ツール」として非常に有効ではないでしょうか。またこの場合、貸付先は、チャリティー・ベースのNPOというより、事業の採算性を考える「起業家」。社会活性化の予感がします。

> 会員/関連団体からの報告・発信ページへ