国際視覚障害者援護協会 事務局長
山口和彦
社会福祉法人国際視覚障害者援護協会は、昨年8月29日から9月12日まで国際ボランティア貯金の助成を受け、ミャンマー盲人協会と、白杖づくりで日本の60%の生産をしている浜松のNPO法人六星・障害者授産所ウイズの協力を得て、ミャンマーキリスト教盲学校で海外で初の白杖作りを実施した。初日に日本から送った白杖製作の材料となる5種類80本の白杖及び部品を前に、ウイズの斯波千秋所長が研修生の使っている竹の棒に樹脂チューブを巻きつけ即座に白色化したところ、会場の人たちはマジックを見たかのような感動の表情だった。
ミャンマーでは、約36万人ほどの視覚障害者がいると推定されているが、白杖は、アメリカ、イギリスなどから寄贈されたものを盲学校のごく選ばれた人に配布しているだけで、ほとんどの人は日本で使われているような白杖は持っていない。持っているのは青竹や木を背丈に合わせて切り、杖として使っているだけ。しかも素材をそのままに使用しているので、白杖とはいえないものだ。実際に海外から購入すると、関税もかかり非常に高くなるため、一般には手に入れにくく、日本で使われている折りたたみ式の白杖は高級なブランド品並みといえる。研修では、研修生を4人ずつ3グループに分け白杖の構造、修理方法、白杖の効用と使用方法を指導した。また、盲学校の晴眼スタッフ2人と晴眼アシスタント3人も加わり、今後の白杖の製作から、使用方法、効用まで多くの研修をした。ミャンマーの視覚障害者に白杖を広め、社会に対して白杖のアピールをすることを通して視覚障害者の社会参加を推進する意味で、この研修は大変効果があったと思われる。
毎年、ミャンマーでは、一般の人達の障害者に対する理解を深めるため、10月15日を「国際白杖の日」と定めているが、昨年の政情不安で中止になったのは残念だった。