社団法人日本キリスト教海外医療協力会(JOCS)
東京事務局 小池宏美
2008年5月15日(木)午後6時半より、東京都新宿区の日本キリスト教会館にて、標記の勉強会が開催されました。この勉強会は、将来海外で保健医療協力に携わりたいという志を持つ方々を対象に2003年から始められ、今回で17回目になります。ある時はHIV/AIDSについて、ある時は旅行関連病の予防と対処など、毎回テーマを決め、講師を招いて学んでいます。今回は、JOCSから派遣されて1993年からバングラデシュの障害を持つ人たちと関わっている岩本直美看護師より報告を聞き、25名の参加者を得て学びの時を持ちました。
世界最貧国のバングラデシュでは、総人口の約一割の人々に何らかの障害があると言われています。岩本看護師は、2008年5月よりバングラデシュに再赴任し、北部マイメンシンにある知的ハンディを持つ女性たちのホーム、プシュポニール(「華の家」の意)で活動します。このホームは、キリスト教のテゼ共同体によって運営され、現在8人の女性と女児、4人のアシスタントが共同生活を送っています。障害を持つ人を保護する施設ではなく、安心して暮らせる家を作ることを目標として、単純素朴な生活を送っています。
岩本看護師は、バングラデシュの障害分野の最近の傾向として、「都市部と農村・国境周辺部の格差」「エリート層と貧困層の格差」「ビジネス化」「重いハンディや精神的な病気を持つ人たちへの関わりの遅れ」をあげました。プシュポニールでの活動は、ハンディに対して専門的な視点を取り入れていくのが難しいことや、アシスタントの教育など問題は多く、効率的でないという見方もあるかもしれません。しかし、岩本看護師は問題解決のためにそこにいるのではなく、ハンディを持つ人たちに寄り添い、彼女たちから日々教えられながら、毎日を暮らしていくことにこそ意味を見出していると語りました。岩本看護師は問題解決のためにそこにいるのではなく、知的ハンディをもった人たちと共に生きることを選んだのだと語りました。