WBUAP会長
指田忠司
去る5月4日から8日まで、ラオスの首都ビエンチャンのホテルで、DAB(デンマーク盲人協会)が、WBUAP(世界盲人連合アジア太平洋地域協議会)と協力して実施してきたデンマーク政府資金による支援プロジェクトに関する"Visionary Conference"という会議が開かれた。会議には、プロジェクトの対象となったラ オスとモンゴルの2ヶ国を始め、ミャンマー、ベトナム、インドネシア、タイ、マレーシア、ブルネイ、日本から代表が参加した。またデンマークからは、DABの国際部長で、本プロジェクトの担当者であるJ.ヘイルブラン氏ら4人が、WBUAPからは理事会メンバーのうち5人の役員が参加した。日本からは、日盲連国際委員でWBUAPの理事でもある田畑美智子氏と筆者が参加した。
会議は、第2日目から本格化し、まずグループに分かれてブレインストーミングを行った。その後、視覚障害者の自助組織、教育、雇用、視覚障害女性の地位、ICT(情報通信技術)の活用、障害者権利条約の署名と批准などの情況に関して、各国から報告を聞いた後、質疑を行った。翌日には、ゲーム形式で前日の報告内容に関するクイズを出し合って、共通認識を確認し、その日の課題である財源や人的資源の開発と活用に関する好事例の発表と情報交換に取り組んだ。討論はグループ討論を基本に行われたが、課題によってグループ編成を変えるなどの工夫もみられた。
第4日目の5月7日には、ラオスで各種の支援プロジェクトを展開する世界銀行、ハンディキャップ・インターナショナル(HIB)や、JICAの3団体の代表者が、ラオス国内での活動について報告した。いずれの団体も、視覚障害者に特化したプログラムはなかったが、今後の課題として、視覚障害者の分野にも関心を以て欲しいとの要望が出された。
本プロジェクトの成果については、今年秋までに評価と課題を含む最終報告が取りまとめられるが、2010年から始まる次期支援プロジェクトについては、WBUAPの理事会、各国代表の意見などを聴いた上で、対象国が選定されることになる。
なお、今回の会議の成果として、最終日に”Vision Statement”が参加者全員によって採択された。5項目にわたる開発理念とともに、具体的な実施目標4項目が掲げられている。字句の修正手続を経た上で、いずれ公表されるであろう。