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    DbI第2回アジア会議に参加して

NPO視聴覚二重障害者福祉センターすまいる
門川 紳一郎


DbI(Deafblind Internationalー盲ろうインターナショナル)第2回アジア会議が、2006年1月29日から31日までの3日間、バングラデシュの首都、ダッカで開催され、日本代表の一人として参加してきました。簡単ではありますが、報告を書かせて頂きます。
 日本から参加したのは、盲ろう者が私の他に全国盲ろう者協会の職員である庵さんの二人で、その他通訳者・支援者等5名を含む計7人でした。全体の参加者は、18カ国から計約300人、内、盲ろう者はたった7名だけでした。

 2000年にアジアで第一回目のDbI会議がインドのアーメダバードでひらかれて以来6年ぶりのアジア会議ですが、私も庵さんもこの会議に参加するのは初めてで、しかも、事前に会議の詳細などの情報がほとんど得られず、出発前から不安で一杯でした。一体きちんと通訳を受けることができるのだろうか?休憩時間は十分にとられているのだろうか?突然スピーチを日本に振ってこないだろうか?(第1回会議の時にはスピーカーが不足していたのか、当日になってスピーチを頼まれた人がいたと聞いていた)?そして、食事は?ビールは?(あ、これはよけいな心配でしたか?しかし、バングラデシュのことはいくら調べてもわからないことが多いようです。)

しかし、まぁ行って無事に帰って来れたらいいか、アジアの国々とネットワークを作ることが目的なので、これさえなんとか達成できればいいかというような、そんな気持ちで参加してきたのでした。

 実は、2002年10月、ニュージーランドのオークランドにおいて、WFDb(世界盲ろう者連盟)が設立され、第1回総会が行われました。この時、WFDb役員の一人として、「アジア地域代表」に日本の福島氏が選出されています。昨年、フィンランドでWFDbの第2回総会があったときも、役員改選が行われ福島氏は「アジア地域代表」に再選されました。つまり、日本はWFDbという世界の組織において、「アジアの代表」なのです。ところが、アジアの国々の盲ろう関係の情報はほとんど皆無に等しいのです。ですから、今回のDbIアジア会議では、アジアの国々とのネットワーク作りを第一目標としていました。

 DbIとは、盲ろう児・者を支援する、支援者や教育関係者、福祉関係者が集まって、福祉・教育・リハビリ等のテーマの下で議論や意見交換等を行うことを目的として活動している組織で、会長はイタリアのWilliam Green氏です。

  今回の会議も、全体会、分科会を通して、全体的に盲ろう児教育関係や福祉サービスの向上を考えることをテーマとした内容が目立ちました。

 それから、今回の会議で特に印象に残ったことは、アジアの中でもインドが盲ろう関係の支援組織としては勢力を増してきているということです。全体会、分科会のスピーカー、パネラーの大部分はインドの方々でした。インドには、「ヘレン・ケラー・インスティチューション」というリハビリテーション施設があり、ここなどが中心となって支援体制を確立していっているようです。これでは、「アジア代表」の日本は小さく沈んでしまいますね。でも、大丈夫。実は、インドには「盲ろう者による、盲ろう者のための全国的な組織」がまだないようなのです。日本では今年の夏を目標に設立に向けて準備を進めています。

 ともかく、当初心に決めていた通り、「行って、無事に帰国」できました。残念だったことは、バングラデシュの国の問題なのか、宗教上の理由からなのか、私たちのお世話をしてくださったガイドさんにお願いしても、市内観光や珍しい物に触ることができなかったことです。市内観光どころか、「ちょっとした散歩」さえもみとめられなかったのは、盲ろうの旅行者として、もう二度と行きたくないなぁと思ってしまいます。