「特定非営利活動(NPO)法人さをりひろば」(本部:大阪)は自由な表現のできる「手織り」の活動を通して、国内外で指導者の育成や障害者芸術祭等多くの事業を行っています。さをり織りは難しい規則がなく、障害の有無にも、器用・不器用にも関係なく誰でも簡単に自分自身を表現することができる「手織り」の手法で、日本だけではなく多くの国々で活動が行われています。
この度、当団体はタイの北部の古都チェンマイを中心に「障害者の就労機会の開発」と「山岳民族の現金収入向上」のためにプロジェクトを開始いたしました。このプロジェクト(「タイ国障害創造活動と就労機会及び山岳民族の手紡ぎ糸ほか商品開発計画」=「SAORIタイプロジェクト」)はチェンマイだけではなく首都バンコクほかでもミニプロジェクトも実施しています。
「JICA開発パートナー事業」(現在の「JICA草の根技術協力事業」の前身)は国際協力機構が平成11年度より開始した日本のNGO等の民間活力を国際協力の現場に生かそうと言う新しい試みで、当団体は平成12年度にこの事業に採択され平成14年10月にプロジェクトを開始しました。この官民一体となったこの事業はタイでは始めて実施されたもので、タイ国政府からも海外NGOとしての活動許可を受けて開始された事業です。
このプロジェクトではチェンマイに「SAORI
クリエイティブ センター(SCC)」を開設し、地元の養護学校の卒業生やリハビリテーションセンターから若者達が集まり手織などの活動を行っています。このSCCでは、障害者の問題だけではなく山岳民族の現金収入向上の為の手紡ぎ糸他手工芸品等の商品開発も行い、国籍、障害の有無、老若男女に関係なく多くの人々が参加できる創造的な活動の場所として多くの皆さまに利用されているセンターです。
バンコクではカウンターパートのタイ国障害児財団(FCD)と協力し、保健省の主催するイベントやワークショップで活動を行ったり、CBR(
Community Based Rehabilitation:病院やリハビリテーションセンターではなく、地域や社会で障害者問題に取り組むためのコンセプト)のための資料を製作しています。また最近ではこれらの資料を利用しタイの国立教育大学(特殊教育学科)の授業を担当することも多く、創造活動を通して障害者問題に取り組む若い教育関係者やボランティアの育成にも力を入れています。その他バンコクの養護学校では知的障害児への取り組みも行い、障害児の「親の会」と連携し活動を行っています。タイの西部の都市カンチャナブリから北に約50kmビルマ国境よりにあるマーヤ・ゴータミ財団でもこの計画のミニプロジェクトが行われています。また、このSAORIタイプロジェクトは平成14年10月に大阪で行われた国際シンポジウム「織と異文化交流2002」(「アジア太平洋障害者の十年」最終年記念フォーラム協賛事業)にて正式に発表され開始されました。これまでも当団体は同「十年」の活動に毎年参加し、中間年記念イベント(外務省主催SAORI展示会)やそのキャンペーン会議等で作品展示会を国連ESCAPの会場(UNCC:バンコク)で行って来た事が、この事業を実施する大きなきっかけになったと言えるでしょう。このような経過の中、2003年12月3日「国際障害者の日」には同会場で再び展示をする機会に恵まれ、2004年3月からはESCAP内の販売部門にSAORIの小さな展示販売コーナーも設置されました。今後は、多くのNGOや教育機関、自治体とも連携を深め活動と続けると共に、チェンマイのSCCでの活動を中心に、受講者の「親の会」のメンバーや今後の組織運営のためのスタッフの育成に努めたいと思います。バンコクの国連ESCAPではチェンマイテイストのSAORIの作品が皆様のお越しをお待ちしておりますので、是非展示販売コーナー覗いてみてください。
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