JANNET障害分野NGO連絡会 メールマガジン 第248号 6月号 2024年6月28日発行 ―目 次―  トピックス 〜第21回「リハ協カフェ」登壇報告〜 1. 第21回「リハ協カフェ」の報告と簡単な経緯 ダスキン・アジア太平洋障害者リーダー育成事業 第22期生  ジャスミン センテアノ アンビオン(フィリピン) 〜第21回「リハ協カフェ」登壇報告〜 2. 4月26日の発表報告 ダスキン・アジア太平洋障害者リーダー育成事業 第14期生  アンジャナ ケーシー(ネパール) インフォメーション 1. 国連障害者の権利条約(UNCRPD)締約国情報 イベント情報 1. 第22回「リハ協カフェ」  2024年7月5日(金) 2. 第23期生成果発表会&卒業生の活動報告会  (ダスキン・アジア太平洋障害者リーダー育成事業) 2024年7月6日(土) トピックス 〜第21回「リハ協カフェ」登壇報告〜 1. 第21回「リハ協カフェ」の報告と簡単な経緯 ダスキン・アジア太平洋障害者リーダー育成事業 第22期生 ジャスミン センテアノ アンビオン(フィリピン)   ※去る2024年4月26日に開催した、(公財)日本障害者リハビリテーション協会主催『第21回「リハ協カフェ」』にてご登壇いただいた内容を、まとめていただきました。   「リハ協カフェ」は、2020年8月に日本障害者リハビリテーション協会によって結成・組織されました。これは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の制約により直接協議することができなかった国内外の研究者、障害者、団体を一堂に会するための解決策でした。障害者コミュニティに関する情報発信を間断なく確実に行うため、隔月でZoomを介してオンラインで行われました。このオンラインでのイベントが成功したため、コロナ感染症の流行が終わった今でも続けられています。 2024年4月26日、第21回「リハ協カフェ」が開催されました。今回初めて、私たち日本でのダスキン・リーダーシップ研修の元研修生が講演者として登壇しました。私、フィリピンの第22期ダスキン研修生のジャスミン・アンビオン、インドネシアの第22期研修生のマウディタ・ゾブリタニア(ゾー)さん、そしてネパールの第14期研修生のアンジャナ・ケーシーさんです。私たちはそれぞれ各国の「障害者証明書」について発表しました。 この第21回「リハ協カフェ」は2時間のイベントで、50人以上の参加者が集まりました。私たちはそれぞれが30分の持ち時間を与えられました。私は英語で発表し、日本語に逐次通訳されました。ゾーさんも同じように英語で発表しました。アンジャナさんは日本語で発表しました。また、このイベントには手話通訳者も配置され、このプログラムが完全にインクルーシブであることが保証されました。 私は、フィリピンにおける障害者IDカードが、よりインクルーシブな社会を実現するためのツールになり得るかについてお話ししました。フィリピンの障害者コミュニティについての重要な情報をいくつかご紹介しました。また、障害者ID制度のルールの根拠となる共和国法法案についても論じました。さらに、障害者IDカードがどのようなものかを説明しました。申請資格、申請手続き、補助金、特典、そして最後に、障害者 ID制度を確立することの重要性について述べました。 ゾーさんは、「ジャカルタ障害者カード」及び「障害者証明書」を中心に、インドネシアの障害者政策について話しました。彼女は、インドネシアにある「ジャカルタ障害者カード」と「障害者証明書」の違いについて説明しました。また、「障害者証明書」の申請プロセスについて話し、それを申請したときの自身の経験についても語りました。また、制度を改善するためのいくつかの提案についても話しました。 アンジャナさんは、ネパールでの活動内容、利用可能な障害者のためのサービス、そして障害者IDカードについて発表しました。彼女は、ネパールの障害者コミュニティが抱える問題と、それを解決するためにどのような支援活動が行われているかについて話しました。また、重度の障害を持つ人々のための無料健康保険についても説明しました。アンジャナさんはまた、他の自治体でも真似できるような優れた障害者サービスの例をいくつか紹介しました。 私は、この2時間のイベントは成功だったと思います。各発表はスムーズに行われ、主催者側にも発表者側にも技術的な問題はありませんでした。聴衆も活発に参加し、質疑応答の時間には積極的に質問をしていました。こういう聴衆の参加により、このイベントでの情報発信の目的は達成されたと思いました。   〜第21回「リハ協カフェ」登壇報告〜 2. 4月26日の発表報告 ダスキン・アジア太平洋障害者リーダー育成事業 第14期生/ポカラ自立生活センター 事務局長 アンジャナ ケーシー(ネパール) ※去る2024年4月26日に開催した、(公財)日本障害者リハビリテーション協会主催『第21回「リハ協カフェ」』にてご登壇いただいた内容を、まとめていただきました。   4月26日、私は「リハ協カフェ」で、ポカラ自立生活センターの10年に渡る重要な活動と成果について発表する機会に恵まれました。センターの事務局長として、また、ダスキン研修第14期生として、この発表は私にとって特に意義深いものでした。沢山の大切な思い出がよみがえり、障害者の自立生活促進において私たちが成し遂げてきたことを振り返ることができました。 私は、政府高官や選挙で選ばれた指導者たちに対する障害者のインクルージョンに関する研修、パーソナル・アシスタント(介助者)の活用、政府部門におけるアクセスしやすいインフラの提唱など、さまざまなテーマを取り上げました。また、障害者の権利擁護や、法律、政策に関する障害者向け研修プログラム、障害者IDカード配布支援についても話しました。さらに、地域実践会議の開催、州レベルの会議、スタッフや理事の能力開発プログラムなどの経験についても話しました。 私が強調した重要ポイントのひとつは、障害者のインクルージョンと自立生活に大きく貢献した3人のパーソナル・アシスタント(介助者)の活用を成功させたことです。彼らのサポートは、理事会メンバーだけでなく、より広範な地域社会にとっても非常に貴重なものでした。また、司法へのアクセスや合理的配慮のための支援活動、アクセシブルな環境づくりのための民間セクターとの協力についても振り返りました。 自立生活の概念に関する研修プログラムや補助器具の配布によって、多くの人々がより自立し充実した生活を送ることができるようになりました。 私の発表は全体的には成功したものの、いくつかの課題にも直面しました。ひとつは言葉の壁でした。私はネパール語も英語も話しますが、複雑な考えを明確かつ簡潔に伝えるには、慎重な考察と準備が必要でした。すべての出席者が、語学力に関係なく、内容を理解し、参加できるようにすることが優先事項でした。そのため、発表する内容の構成、誰もが理解できるような適切な用語の選定に、さらなる努力が必要でした。もうひとつの課題は、緊張に対処することでした。人前で話すことは私にとっていつも難しいことなのですが、今回も例外ではありませんでした。聴衆の前に立ち、言いたいことが正確に伝わるように注意しながら、10年に渡る私たちの歩みをきちんと説明することは、私の自信と落ち着きを試す大きな試練でした。しかし、聴衆の協力的な雰囲気と自身の活動に対する情熱により、こうした緊張を乗り越え、首尾一貫した興味深い発表を行うことができました。また、技術的な課題も若干ありました。マルチメディア・コンポーネントが全て正しく機能し、発表がスムーズに進行するためには、綿密な準備が必要でした。スライドが予定通りに切り替わらなかったり、AV機器に不具合が生じたりすることもありました。しかし、技術チームの支援により、問題は迅速に対処され、発表は長く中断することもなく進行することができました。 発表の間中、私は計り知れない幸福感と郷愁を感じ、これまでに達成してきた沢山のことや乗り越えてきた困難を思い起こしました。私たちのこれまでの歩みと、障害者の生活に私たちがもたらした良い影響を改めて確認し、誇りを感じた瞬間でした。 発表会に出席してくださった参加者の皆様に心からお礼を申し上げます。皆様のご支援と励ましは、私たちにとって大きな意味を持ちます。また、知識や経験を分かち合ってくださった先生方や個人の方々にも深く感謝しています。皆様のご指導は、私たちの取組みを形成し、障害者にとってより良い世界を作る上で大きな力となりました。よりインクルーシブでアクセスしやすい社会に向けた取組みに参加してくださったことに、あらためて感謝申し上げます。 ******************************************************************************** インフォメーション 1.国連障害者の権利条約(UNCRPD)締約国情報 (関連サイト:http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/rights/right.html) 署名国・地域数164/ 締約国・地域数 191 (2024年6月末現在) https://treaties.un.org/Pages/ViewDetails.aspx?src=IND&mtdsg_no=IV-15&chapter=4&lang=en イベント情報 1.第22回「リハ協カフェ」 2024年7月5日(金) 日本障害者リハビリテーション協会の国際委員会では、国際協力分野において障害分野の課題に取り組んでいくため、情報発信を継続し、関係者への情報提供を行うべく、2020年8月よりリモートによる報告会「リハ協カフェ」を隔月で開催してまいりました。今回は第22回目の開催です。 第22回は、1999年から日本障害者リハビリテーション協会が委託を受けて行っている「ダスキン・アジア太平洋 障害者リーダー育成事業」で、過去に日本で研修を行った研修生である、ルーさん(タイ)に、現在の自国の障害者施策やご自身の活動報告等をいただきます。また、「撫子寄合」のペギー・プロザーさん、佐藤啓子先生に、在日外国人ろう者の状況と日本語教室の取り組みをご報告いただきます。 関係者以外にも広くご参加を募ります。皆様のご参加をお待ちしております。   ◆日時:2024年7月5日(金)13:30〜15:30 ◆会場:リモート開催(Zoom) ※要約筆記・手話通訳が入ります。 ◆主催:公益財団法人 日本障害者リハビリテーション協会 ◆共催:障害分野NGO連絡会(JANNET) ◆参加費:無料 ◆定員:100名 プログラム(敬称略) 13:30-13:35 開会挨拶 水嶌 美幸氏(公益財団法人 ダスキン愛の輪基金 常務理事/事務局長)       13:35-13:55 報告1 "Disability Certificate in Thailand" 「タイの障害者手帳について」 発表者:カォクン タンティピシックン氏 (タイ)(ダスキン・アジア太平洋障害者リーダー育成事業 第19期生)                 13:55-14:05 質疑応答@                 14:05-14:35 報告2 "Bringing Together Deaf Foreigners current situation and issues in Tokyo" 「外国人ろう者同士を繋ぐ東京の現状と課題」 発表者: ペギー プロザー氏 (一般社団法人撫子寄合 副代表) 14:35-15:05 報告3 「ろう者の特性を生かした日本語教育」〜外国人ろう者対象の日本語教室の実践を通して〜 発表者: 佐藤 啓子氏 (亜細亜大学留学生別科非常勤講師/明晴学園(中学部日本語担当)非常勤講師)          15:05-15:25質疑応答A 15:25-15:30 閉会挨拶 廣瀬 芽里氏(一般社団法人撫子寄合 代表) 15:30 閉会 *プログラムの内容に変更がある場合がございます。ご了承ください。 【発表者プロフィール】 ・Kaewkul Tantipisitkul(カォクン・タンティピシックン) 氏(ダスキン・アジア太平洋障害者リーダー育成事業第19期生:タイ) ニックネーム:ルーさん 障害:聴覚(難聴:右耳に補聴器装用) 《プロフィール紹介》 【学歴】 政治学 学士(チュラロンコン大学) 精神保健学 修士(チュラロンコン大学) 国際研究博士課程(早稲田大学) 【経歴】 1.聴覚及びコミュニケーション障害者エンパワーメント局 小委員会 2.タイろう者協会(NADT)副会長 3.タイろう者協会(NADT)手話・手話通訳 小委員会 4.タイ ろう者通訳クラブ(DIT)顧問 5.ダスキン・リーダーシップ・トレーニング・プログラム第19回卒業生 ・ Peggy Prosser (ペギー プロザー) 氏(一般社団法人撫子寄合 副代表) アメリカ生まれのろう者、日本在住31年。 一般社団法人撫子寄合副代表、特定非営利活動法人YES, DEAF CAN!の副代表。 ギャローデット大学で国際開発学を専攻、経営学の学士号を取得。 2013年に世界ろう連盟(WFD)の職員として、ニューヨークにある国際機関や組織の国連とのコミュニケーションを図っていた。 現在はフリーランスとして言語指導、手話通訳、観光及び国際開発コンサルティング関係の仕事に携わっている。毎年春から秋の間は世界各国から訪れる観光客を日本の様々な場所へ案内している。 また、日本に住む外国人ろう者について、講演活動もしている。 ・ 佐藤 啓子 (さとう けいこ) 氏(亜細亜大学留学生別科非常勤講師/明晴学園(中学部日本語担当)非常勤講師) 1980年より国内外(JICAボランティアでチュニジアに、国際交流基金専門家としてインドネシアに派遣、国際学友会等)において外国人に日本語を教える。 2001年よりダスキン・アジア太平洋障害者リーダー育成事業日本語研修クラスを担当する。 2009年より明晴学園(私立ろう学校)でろう者に特化した日本語教育に携わる。 2022年から在日外国人ろう者を対象とした日本語教室の指導者・講師を務め、「外国人ろう者に教えられる日本語教師」養成にも取り組んでいる。 【申込方法】 以下のサイト、またはFAXにてお申し込みください。 https://www.jsrpd.jp/cafe22/ 申込受付:2024年7月4日(木)15:00まで ※情報保障が必要な方は、6月27日(木)までにお申し込みください。 満員になり次第、締め切りとなりますので、ご了承ください。 お名前、ご所属、ご住所を明記の上、手話通訳、要約筆記、テキストデータなど必要があれば申し込み時にお知らせください。 参加登録された方へZoomのURLをお送りいたします。    【お申し込み、お問い合わせ先】 《公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会 国際課》 担当:村上・仁尾(にお) 〒162-0052東京都新宿区戸山1丁目22番1号 TEL: 03-5273-0601   FAX: 03-5273-1523    Eメール:kokusai@dinf.ne.jp 2.第23期生成果発表会&卒業生の活動報告会(ダスキン・アジア太平洋障害者リーダー育成事業) 2024年7月6日(土) 「ダスキン・アジア太平洋障害者リーダー育成事業」は、2023年10月に第23期生3名を日本に迎えました。希望に胸を膨らませて来日した3名は、日本で何を学び、何を感じたのでしょうか。各研修生は日本での研修を振り返り、帰国後の目標や夢を語ります。 そして、今回は特別に、卒業生6名をお迎えすることになりました。卒業生は、日本での学びをどう生かしているのでしょうか。日本で見つけた夢を実現させることができたのでしょうか。6名の活動報告もどうぞお楽しみください。 お申込みをお待ちしております。   ◆ 開催日時:2024年7月6日(土)13時~16時 ◆ 会場:戸山サンライズ2階 大研修室(新宿区戸山1-22-1) ◆ 定員:80名 ◆ 参加費:500円(介助者無料) *当日、会場にて現金でお支払いください。 ◆ 使用言語:日本語・日本手話 ◆ 情報保障:日本手話通訳・要約筆記 プログラム  ※当日の流れ等によって変更する場合があります。 13:00-13:10 開会の挨拶など 13:10-14:10 第23期生の成果発表会 *各発表の後、質疑応答の時間を設けます。 ・ジョヒルル・イスラム(バングラデシュ) ・リエカ・アプリリア・ヘルマンシャ(インドネシア) ・ハルシャニ・カウシャルヤ・マルホダ・デワヤラゲ(スリランカ) 14:10-14:25 休憩 14:25-15:50 卒業生6名の活動報告 *6名の発表後、質疑応答の時間を設けます。 ・ノー・サン・ター・ウイ(ミャンマー) ・マウディタ・ゾブリタニア(インドネシア) ・サンカ・ハシンタ(スリランカ) ・ヒヨウ・ティー・ルー(ベトナム) ・リン・チュン・チェ(台湾) ・ガルー・スクマラ・ソヤント(インドネシア) 15:50-16:00 閉会の挨拶など 【申込方法】 以下のサイトからお申し込みください。 ◆ 申込みURL:https://kokc.jp/e/e4e7f20eeef3e48dff4b13f4656be29e/ ※ 「こくちーず」からの申し込みが難しい場合は、以下の4項目にご回答の上inquiry@dinf.ne.jp宛にメールをお送りください。 @お名前(ふりがな):  A所属・部署名:  B情報保障について: ・手話通訳 ・要約筆記 ・テキストデータ(発表資料の配布はありません) ・点字(発表資料の配布はありません) C当協会からのイベント案内について ・希望する ・希望しない 【お問い合わせ先】 ◆ 事務局:日本障害者リハビリテーション協会 事業振興部人材開発課 〒162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1 TEL:03-5273-0633 FAX:03-5273-1523 E-mail:inquiry@dinf.ne.jp 本事業ウェブサイト:https://duskin-hp.normanet.ne.jp/ 編集後記 以前、戸山サンライズで盲ろう者の通訳・介助員を養成する研修会を行っていた際、ダスキンのアジア・太平洋障害者リーダー育成研修生の方が見学に来られ、日本の盲ろう者支援の一端をご覧頂いたことが度々ありました。また、当協会の国際協力事業にご協力頂いている修了生の方もおられたりと、ダスキンさんの研修会を通じた「繋がり」を思い浮かべながら、今号を拝読しました。 当協会も盲ろう当事者向けのリーダー育成研修会を行っていて、近年は災害をテーマに、地域団体の活動活性化に繋げる取り組みを行っています。オンライン開催ですが、各地の盲ろう受講者が受講し、盲ろうとは異なる障害をもつゲストスピーカーをお呼びしたりしています。 その場では繋がらなくても、いつか繋がることもあるかもしれません。研修会での学びと共に、そんな「繋がり」のきっかけが生まれることも期待したいものです。 (小林 真悟/JANNET広報・啓発委員) JANNET事務局では、会員の皆様よりメールマガジンに掲載する国際活動に関する情報を募集しております。団体会員様のイベント情報などありましたら事務局までご連絡ください。 JANNET障害分野NGO連絡会  〒162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1 公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会内 【JANNET事務局直通】 TEL:03-5292-7628 FAX:03-5292-7630 URL: https://jannet-hp.normanet.ne.jp/ 以上