JANNET障害分野NGO連絡会 メールマガジン 第250号 8月号 2024年8月30日発行 ―目 次―  トピックス 〜第22回「リハ協カフェ」登壇報告〜 1. ろう者の特性を生かした日本語教育 亜細亜大学留学生別科 非常勤講師/明晴学園 非常勤講師 佐藤 啓子 2. タイ スタディーツアーに参加しての感想 筑波大学 人間学群4年 石丸 友那(JANNET学生会員) インフォメーション 1. 国連障害者の権利条約(UNCRPD)締約国情報 イベント情報 1. アジアのワーカーと考える〜インクルーシブな地域をつくる当事者エンパワメントとは?〜 2024年9月13日(金) 2. グローバルフェスタJAPAN2024 ★JANNETの「ブース出展」が決まりました!★ 2024年9月28日(土)・29日(日) トピックス 〜第22回「リハ協カフェ」登壇報告〜 1. ろう者の特性を生かした日本語教育 亜細亜大学留学生別科 非常勤講師/明晴学園 非常勤講師 佐藤 啓子   ※去る2024年7月5日に開催した、(公財)日本障害者リハビリテーション協会主催『第22回「リハ協カフェ」』にてご登壇いただいた内容を、まとめていただきました。   ろう者に特化した方法を取り入れた「外国人ろう者対象の日本語教室」における実践についてご報告します。 @ろう者が日本語を学ぶとは? ろう者にとって何が難しいのか? ろう者が日常使用している手話と音声言語である日本語は大きく異なっています。「雨が激しく降る」という文の場合、日本語は順に単語を並べて表しますが、手話は「降る」という単語を表す手の動きを早くしたり回数を多くしたりして「激しく」を表すことがあるようです。また、手話では眉の上げ下げ、うなずきなどが文法を表すこともあります。 学ぶ方法についても聴者が日本語を学ぶ場合は何度も音を聞いてシャワーのように日本語が浴びることができます。一方ろう者は耳から自然に音が入ってくるということがなく日本語の文字からのみ学ぶわけです。外国人ろう者にとって馴染みのないひらがな・カタカナ・漢字から入るということが困難であることは容易に想像がつきます。 A実際の授業で工夫した点 外国人聴者に第二言語として日本語を教える日本教育の方法は有効ですが、ただそれだけではろうの学習者には十分な効果が得られないと考え彼らの日常使用している手話を授業に取り入れること等を試みました。 ・手話を効果的に取り入れる。 *「バスで行く」「ペンで書く」の「で」はそれぞれ「乗り物に乗って」「使って」という意味だと 手話で説明する。 *動詞の活用(行って、食べて、読んで)を指文字で、文の意味を手話で確認する。 *新しい文型の導入時にその場面の状況(いつその文型を使うのか)を手話で説明する。 *手話でやり取りをしながら学習者にとって必要な語彙を探る。 ・文型、語彙の数を少なくし意味の確認をしながら授業を進める。 ・意味を表す漢字の方が記憶に残りやすいため漢字を積極的に使用する。 B結果 動詞の活用などは文字を見るだけではなく実際に手を動かした方が覚えやすいようです。また、文字と意味の結びつきが弱いために意味の確認が必要ですがその際に手話を使用することで時間が短縮されます。さらに学習者のわかる言語で説明されるので確実に理解ができ安心して質問もできるという利点があります。このようにろう者が書記言語を学ぶ上でハンディとなる点を補い手話を有効に使用することで概ね良い結果が出ました。 以上述べてきたようにろう者と聴者では書記言語を学ぶ方法が違っています。日本に住む外国人ろう者が聴者と同様に日本語を学ぶ場が増えることを願い、今後も外国人ろう者に指導できる教員の育成に注力していきたいと考えています。       2. タイ スタディーツアーに参加しての感想 筑波大学 人間学群4年 石丸 友那    私は筑波大学人間学群障害科学類に所属し、障害や障害に関わる教育・心理・福祉・医療などの多領域から総合的に学んでいます。国際的な視野を持って学びを深めたいと思い、2024年4月に実施された野毛坂グローカル主催のタイへのスタディーツアーに参加しました。 ツアーでは、障害、貧困、コミュニティなど、ミクロからマクロまでの幅広い視点から、現場から政策レベルに至るまで学習しました。ここでは、特に印象に残った訪問先として、社会開発人間安全保障省障害者局、アジア太平洋障害者センター(APCD)、エイズ患者ホスピス、そしてロブリ県カオプラガム市での活動について触れたいと思います。 社会開発人間安全保障省障害者局では、「エンパワメント」というキーワードが強く印象に残りました。エンパワメントの重要性と、それを効果的に活動に結びつける必要性を学びました。 アジア太平洋障害者センター(APCD)では、「『障害』とは、社会に障壁があること」であるという考え方を再確認しました。障害を個人の機能の問題ではなく、社会や環境のあり方が原因であると捉えることが、すべての人が生きやすい社会を構築する上で重要であることを学びました。 エイズ患者ホスピスでは、「居場所」の大切さを強く感じました。過去には治療薬がなかったことや、薬が簡単に手に入らなかったため、毎日多くの人が亡くなったという事実を知りました。また、「自分の地域にいると差別を受けるからここへ来た」と語っていた入居者の言葉が心に残りました。共感し合える場所、人と関わり合える場所、そして安らぎと安心感を与えてくれる「居場所」の重要性を痛感しました。 カオプラガム市では、学生やボランティアと協力し、高齢者のいるすべての家庭の生活環境を把握し、支援が必要な人を発見して地域の人々と協力し、個々のニーズに応じた支援を提供する取り組みを行っていました。たとえば、寝たきりの男性を発見し、ボランティアと共同で支援やリハビリテーションを提供している事例や、地域社会全体で認知症の方を支援する取り組みなどです。これらの取り組みから日本も学び、日本に適した支援や政策を模索していくことが重要だと感じました。 このスタディーツアーを通じて、訪問先での学びに加え、異なる視点や専門性を持つ参加者からも良い刺激を受け、交流や意見交換を通じて人として成長できたと感じています。 ツアー全体を通して有意義な時間を過ごすことができ、訪問先の方々や仲間たちなど、タイスタディーツアーに関わったすべての人に感謝しています。 私は、今後大学院進学を考えていますが、これからも学び続け、すべての人が共に生きる社会づくりに少しでも貢献したいと考えています。     ******************************************************************************** インフォメーション 1.国連障害者の権利条約(UNCRPD)締約国情報 (関連サイト:http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/rights/right.html) 署名国・地域数164/ 締約国・地域数 191 (2024年8月末現在) https://treaties.un.org/Pages/ViewDetails.aspx?src=IND&mtdsg_no=IV-15&chapter=4&lang=en イベント情報 1.アジアのワーカーと考える〜インクルーシブな地域をつくる当事者エンパワメントとは?〜 2024年9月13日(金) アジアの村々で、人びと自身による村づくりをすすめるAHIの研修生と一緒に、自らの活動と役割をふりかえり、次の一歩を踏み出すアイディアを、探ってみませんか? 国際協力の現場で・日本の地域で、インクルーシブな地域をめざし活動している方、そのような活動に関心がある方のご参加、お待ちしています!   ◆日時:2024年9月13日(金)13:00〜17:00(受付開始12:40) ※昼食希望で申し込まれた方は、12:00前に集合してください。 ◆会場:アジア保健研修所(AHI) (愛知県日進市米野木町南山987-30 名鉄黒笹駅より徒歩15分) ※現地集合、現地解散(宿泊手配も各自でお願いいたします。) JANNET関係者には交通費の補助について個別にご相談させていただきます。 ※Zoomによるオブザーブあり(グループ討議には参加できません)。 ◆共催:公益財団法人アジア保健研修所(AHI)・障害分野NGO連絡会(JANNET) ◆使用言語:英語(日本語通訳なし) ◆参加費:無料(昼食を申し込まれた方は、当日300円をご持参ください。) ◆オプショナルセッション(希望者のみ):翌9/14(土)午後、研修生の「保見団地」訪問に同行(在日外国人が多く暮らす、豊田市の「保見団地」を訪問し、多文化共生の取り組みを行うNPOや地域住民との経験交流を行います。) 〇AHI研修生って? 7か国(バングラデシュ・ブータン・カンボジア・インド・ネパール・スリランカ・ベトナム)から集まった10名の地域ワーカーたちです。 村々で、課題を抱える当事者主体の地域づくりをすすめています。取り組む分野や対象は、障害、栄養、気候変動、メンタルヘルス、難民、子ども、女性、少数民族、若者など研修生によってさまざま。お互いの活動・課題から学び合うため、8/29−9/29までAHIの参加型研修に参加しています。 ◆申し込み:下記URLからフォームにご入力ください。 https://forms.gle/LwbwbmwN3bbSoudW6 ◆お問い合わせ:アジア保健研修所(AHI) 事務局 tel: 0561-73-1950 e-mail: info@ahi-japan.jp   2.グローバルフェスタJAPAN2024 2024年9月28日(土)・29日(日) 「グローバルフェスタJAPAN」は、国際協力活動、社会貢献活動、SDGsなどに取り組む官民様々な団体が一堂に会する国内最大級の国際協力イベントです。 今年のテーマは、“国際協力70年、ともに未来へ” 2024年は、1954年に日本がODAを開始してから70年の節目の年。 国際協力70周年を迎える本年、第33回目になる「グローバルフェスタJAPAN2024」は、 昨年に引き続き、リアル(対面形式)とオンライン(配信形式)を両立したハイブリッド形式により開催します。 また、今年は、屋内のほかに屋外にも会場を準備しています。 出展団体によるブースを始め、多彩なゲストが出演するステージや体験イベント、様々な国の食事が楽しめる飲食・物販ブースなど盛りだくさん! 本フェスタを通じて、諸外国への理解が深まるとともに、より良い世界をつくるため、ともに未来へ向けて国際協力に参加する仲間が増えていくことを期待いたします。 ★今年はJANNETの「ブース出展(新宿住友ビル 三角広場)」が決まりました!ぜひ皆様、ブースに遊びにいらしてくださいね!★   <開催概要> 日時:2024年9月28日(土)・29日(日)10:00-17:00 開催テーマ:「国際協力70年、ともに未来へ 」 実施形態:リアル(対面形式)とオンライン配信形式(特設サイト)を両立したハイブリッド形式 場所:リアル会場: 【屋内】新宿住友ビル 三角広場 (〒163-0290 東京都新宿区西新宿2丁目6-1) 【屋外】新宿中央公園 ファンモアタイムひろば(水の広場) (〒160-0023 東京都新宿区西新宿2丁目11) オンライン: 下記特設サイトに当日オンライン会場を設置します。「オンライン会場はこちら」ボタンよりご参加ください。 入場料:無料 主催:グローバルフェスタJAPAN2024実行委員会 特設サイトURL: https://gfjapan2024.jp/ 事務局:グローバルフェスタJAPAN2024実行委員会運営事務局 株式会社ライノ ・コネクト 担当:齋木、小松 Mail:globalfesta_exhibit@plan-sms.co.jp      編集後記 8月お盆真っ最中に、インドネシアの古都と言われるジョクジャカルタにて、世界ろう連盟アジア地域代表者会議が開催され、全日本ろうあ連盟代表として中西副理事長と共に出席しました。 日本は38℃を超える酷暑が続くなか、インドネシアはほどよい暑さ、ジョクジャカルタの高地は夕方になると20℃をきる、熱帯地方とは思えない涼しさでした。 代表者会議にはアジア各地からきこえない仲間が集まり、一番の注目テーマはアジア女性部の立ち上げでした。来年を目途に発足できるよう私も協力したいと思います。きこえない、女性の問題に課題が多く残されている事が分かります。 また大きく注目され、質問が相次いだのは、優生保護法問題、7月3日の最高裁判決内容でした。ニュージーランドでも問題が起こったと聞き及んでいます。優生思想をなくす運動を引き続き続けましょう。 (嶋本 恭規/JANNET広報・啓発委員長) JANNET事務局では、会員の皆様よりメールマガジンに掲載する国際活動に関する情報を募集しております。団体会員様のイベント情報などありましたら事務局までご連絡ください。 JANNET障害分野NGO連絡会  〒162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1 公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会内 【JANNET事務局直通】 TEL:03-5292-7628 FAX:03-5292-7630 URL: https://jannet-hp.normanet.ne.jp/ 以上