JANNET障害分野NGO連絡会 メールマガジン 第253号 11月号 2024年11月29日発行 ―目 次―  トピックス 1. 「国際リハビリテーション協会(RI)世界会議」報告 公益財団法人 日本障害者リハビリテーション協会 情報センター長 村上 博行 2. 世界理学療法連盟 アジア西太平洋地区学会2024に参加しました! 公益社団法人 日本理学療法士協会 国際事業課 課長 伊藤 智典 インフォメーション 1. 国連障害者の権利条約(UNCRPD)締約国情報 2. 第5回SDGs「誰ひとり取り残さない」小論文/イラスト コンテスト   3. “令和6年度「障害者週間」オンラインセミナー”が始まります。 イベント情報 1. JDF全国フォーラム 2024年12月9日(月) トピックス 1. 「国際リハビリテーション協会(RI)世界会議」報告 公益財団法人 日本障害者リハビリテーション協会 情報センター長 村上 博行 「国際リハビリテーション協会(RI)※世界会議『World Congress on Rehabilitation 2024』」は、2024年9月23日から25日までの3日間、アラブ首長国連邦(UAE)の首都アブダビで開催されました。この世界会議はオリンピックと同年の、4年に1回開催されます。中東での開催は今回が初めてでした。日本障害者リハビリテーション協会は、高齢・障害・求職者雇用支援機構とともにRIの日本の加盟団体です。日本のRI事務局として、寺島彰副会長と参加してきました。 大会前日の22日に加盟団体が参加するRI総会が開催されるため、9月20日前日の夕方に成田を出発し、約11時間のフライトを経て夜中にアブダビに到着しました。アブダビ空港は、成田に匹敵するぐらい綺麗に掃除が行き届いておりました。ホテルへ向かうタクシーも市内向けの専用車が手配され、問題なく乗車できました。4-5車線の真っ直ぐな道を時速1 20キロ・30分程で到着しました。警察官やパトカーを見かけないのを不思議に思い、タクシーの運転手に聞いたところ、アブダビ市内は、覆面パトカー、私服警察等で監視されており、駐車違反も含め、犯罪はほとんど発生せず治安が良いとのことでした。 世界会議は、アブダビ国立展示センター(ADNEC) (写真1)で30セッション開催されました。約70の国と地域から、参加者約500人、講演者数は約190人を超えました。日本からは、本協会から寺島彰副会長と村上、RIのICTA※※の委員長の河村宏氏、北村弥生先生(長野保健医療大学 特任教授)、會田玉美先生(目白大学大学院 教授)が参加しました。大会テーマは「労働と雇用」でした。参加者の半分は地元からで男性は白いゴトラ(写真2)、女性は黒いヒジャブ等を着用しています。 前夜祭として、王族主催の晩さん会が開催されUAEの伝統的な軍隊の演奏、中国のろう者演舞団によるパフォーマンス等が披露されました。ドレスコードは正装(ブラックタイ)のため、村上はタキシード、會田先生はロングドレス(写真3)で参加しました。RIの前会長であるは中国のハイジ氏の影響からか中国からの参加も多く、ハイジ氏の退任のセレモニーも行われました。RIの新会長は、今大会よりドイツのグーテンブルナー博士(写真4)が就任され、大会長として各所で登壇しておりました。 セッションは、障害者と防災をテーマにしたもの、避難民ウクライナ人家族のための精神障害に関するもの、ゲーム障害を持つ青少年に対する人格機能障害、暴力や虐待の被害者を対象にしたアニマルセラピー、CBR、女性問題等、多岐にわたりました。参加国では、戦争当時国であるウクライナとロシア、更にイスラエルからの登壇報告があったことには驚きました。河村氏は全体会・分科会の座長を務めた一方、北村先生、會田先生、村上(写真5)は分科会へ登壇しました。 村上は、「ICTを利用した重度障害者によるデイジー図書製作の日本での事例報告」を行いました。 寺島副会長は、本会議の報告書を現在執筆されております。年度内に発行・本協会のホームページへ掲載される予定です。ご興味のある方は是非ご覧ください。 大会オフィシャルサイト:   https://wcri2024ad.com/   ※国際リハビリテーション協会(RI)とは、1922年に設立された、リハビリテーション・サービス提供団体・研究機関、障害者権利擁護団体、障害当事者団体および政府機関などから構成される国際組織で、事務局はニューヨークにあります。国際シンボルマーク(車いすマーク)はRIでデザインされました。 ※※RIのICTAは、技術・アクセス委員会のこと。 2. 世界理学療法連盟 アジア西太平洋地区学会2024に参加しました! 公益社団法人 日本理学療法士協会 国際事業課 課長 伊藤 智典 このたび9月25日〜28日に、バリ(インドネシア)でアジア西太平洋地区の総会・学会が開催され、弊会から副会長の大工谷新一と、国際事業課の伊藤智典が参加しました。 日本理学療法士協会は、1970年から世界理学療法連盟(World Physiotherapy)に加盟しています。これまで、世界理学療法連盟を通じて弊会は、グローバルな諸課題について議論を深め、学術的な研究の推進に貢献をしてきました。 世界理学療法連盟は地理的にアフリカ地区、アジア西太平洋地区、北アメリカ・カリブ地区、ヨーロッパ地区、南アメリカ地区と5つの地区に分けられています。日本はこのうち、31の国や地域で構成されるアジア西太平洋地区に含まれています。世界理学療法連盟の世界的な総会・学会とは別に、これら5つの各地区においても総会・学会を定期的に開催しており、このたびインドネシア理学療法士協会(Indonesian Physiotherapy Association)がホスト組織となり、アジア西太平洋地区の総会・学会が開催されることとなりました。 9月25日に開催された総会では、それぞれの国・地域の加盟組織から、リハビリテーション、理学療法に関する諸課題について学術や専門職の視点から、継続的専門職開発など教育的な視点から、様々な議論がなされました。弊会を代表して大工谷から、能登半島地震後に哀悼の意を示された組織に対してお礼を伝えるとともに、災害時におけるリハビリテーション専門職の支援の必要性が認知され、需要が高まっていることを報告しました。また伊藤は、世界理学療法連盟のアジア西太平洋地区執行委員会の委員の立場から、同地区執行委員会の財務状況について報告しました。 9月26日から開催された学会のテーマはSustainability(持続可能性)でした。地球の健康が人の健康につながるというプラネタリーヘルス、環境や人獣の健康に関するワンヘルス、そしてグローバルヘルスから持続可能な理学療法実践にいたるまで、ひろく意見交換がなされました。病気の地球のうえで、人々が健康に生きることは難しいということ、SDGsにおける保健と福祉、ディセントワーク、公平・公正な社会、環境への配慮、そしてパートナーシップなど、様々な視点が出されました。時代が進み、グローバルな課題が変化をしていく中、WHOがかかげたRehabilitation 2030を旗印に、障害を持つ人も持たない人も、皆が幸せに健やかに暮らすことができる社会の実現にむけた理学療法士らの積極的なかかわりが求められていることが実感できました。 2025年5月は、約四半世紀ぶりに世界理学療法連盟の学会が都内、東京国際フォーラムで開催されます。1999年の世界理学療法連盟学会において、ホスト組織として弊会側で準備委員長をされた故 田口順子氏におもいをはせ、必要なリハビリテーションが、すべての人に届く社会にむけたエポックメイキングになるよう、2025年の世界理学療法連盟学会の準備に尽力したいと思います。   ******************************************************************************** インフォメーション 1.国連障害者の権利条約(UNCRPD)締約国情報 (関連サイト:http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/rights/right.html) 署名国・地域数164/ 締約国・地域数 191 (2024年11月末現在) https://treaties.un.org/Pages/ViewDetails.aspx?src=IND&mtdsg_no=IV-15&chapter=4&lang=en 2.『 第5回SDGs「誰ひとり取り残さない」小論文・イラスト コンテスト』    このコンテストは、「誰一人取り残さない」をテーマにした文章やイラストを若者から募集し、社会に発信することを目指して実施されています。このコンテストでは、応募時点で26歳以下の若者を対象に、SDGsに関する作品を募集しています。 「取り残される人」の視点からSDGsを改めて考え、自由な発想で、多くの皆さんから作品を応募していただけることをお待ちしています。 《コンテストの特徴》: ・SDGsの基本理念「誰ひとり取り残さない」視点での若者(26歳以下)の声 ・小学生から高校生、大学生を中心とした実行委員会により運営 ・入賞作品のみならず全作品を公開して広く社会に発信する ・LGBTQ+、障害、病気、家族との関係などと自分がどう向き合うか真剣に考えている作品が多い ◆主催:野毛坂グローカル ◆運営:SDGs「誰ひとり取り残さない」エッセイ/クリエイティブ コンテスト2024実行委員会 ◆後援:国際協力機構(JICA) ◆協賛:エーザイ株式会社 株式会社エイビス 共和メディカル株式会社 フランスベッド株式会社 パーソネルコンサルタントマンパワータイランド株式会社 ◆詳細・募集要項: https://nogezaka-glocal.com/dh5/ https://koubo.jp/article/31615 ◆表彰:  大賞(3万円) 3作品 特別賞(2万円) 5作品 入賞(1万円)  10作品 優秀賞(3000円) 40作品 奨励賞(1000円)100作品 <過去の表彰作品> 第4回コンテスト(2023年度)入賞者、全作品 https://nogezaka-glocal.com/sdg4/ 第3回コンテスト(2022年度)入賞者、全作品 https://nogezaka-glocal.com/dh/ 第2回コンテスト(2021年度)入賞者、全作品 https://nogezaka-glocal.com/sdgs2021/ 第1回コンテスト(2020年度)入賞者、全作品 https://nogezaka-glocal.com/sr/ ※本コンテストの実施に必要な賞金や経費は協賛金、寄付のみで運営しています。 1000円より寄付を募っております。ご協力いただければとてもうれしいです。 寄付いただける方は下記よりお願いします。 https://congrant.com/project/nogezaka-glocal/8621 3. “令和6年度「障害者週間」オンラインセミナー”が始まります。 毎年12月3日から9日は、「障害者週間」です。 令和6年度の関連行事としまして、12月3日(火)より、内閣府ホームページにて「障害者週間」オンラインセミナー(録画)が配信されます。 JANNET正会員団体である、(公財)日本障害者リハビリテーション協会および(公社)日本発達障害連盟が参加しております。 皆様、お時間がございます時にどうぞご覧ください。 【「障害者週間」オンラインセミナー】 日時: 令和6年12月3日(火)〜 27日(金)17時 会場: 内閣府ホームページ 参加方法 : 一般(無料) 視聴無料(どなたでも視聴可) 内容:障害及び障害のある人に関する理解を促進するため、オンライン配信により、障害者週間の趣旨にふさわしいセミナーを、各団体と連携し開催します。 URL:https://www8.cao.go.jp/shougai/kou-kei/r06shukan/main.html イベント情報 1.JDF全国フォーラム 2024年12月9日(月) 日本障害フォーラム(JDF)は、今年で設立から20年を迎えました。障害者権利条約の推進や、災害支援など20年の取り組みを、これまで連携やご支援をいただいた多くの皆様と振り返りながら、未来への展望を探ります。 ◆日時:2024年12月9日(月)午前10時〜午後4時30分 ◆会場:戸山サンライズ 2階大研修室(東京都新宿区戸山1-22-1)※Zoom配信あり ◆参加費(資料代):1,000円 ※手話通訳、要約筆記、テキストデータ等あり ※介助者等は無料です ■キリン福祉財団、SOMPO福祉財団、ヤマト福祉財団助成事業■ 《プログラム》(一部依頼中)    総合司会 山根昭治(全日本ろうあ連盟本部事務所長) 10:00   開会挨拶 阿部一彦 日本障害フォーラム代表 来賓挨拶・メッセージ 外務省、内閣府、国連障害者の権利条約推進議員連盟、 全国知事会(依頼中) ご挨拶 田門 浩 障害者権利委員会次期委員  10:30 I. JDF 20年の歩み(写真と記録でたどる) 進行役:  佐藤聡 JDF幹事会議長/DPI日本会議事務局長 南由美子 全日本難聴者・中途失聴者団体連合会 1)障害者権利条約の制定に向けて  国連特別委員会への参加(2002〜2006年) 崔栄繁 DPI日本会議議長補佐 2)障害者制度改革  権利条約の批准に向けて(2009〜2014年)  門川紳一郎 全国盲ろう者協会理事 3)権利条約の審査と総括所見に向けて パラレルレポートの作成(2017〜22年)  佐藤聡、南由美子 4)災害総合支援本部 大規模災害で被災した 障害者の支援(2011〜2024年)  赤松英知 日本障害者協議会 コメンテーター: 森祐司 日本身体障害者団体連合会相談役 東俊裕 DPI日本会議顧問 11:50 感謝状の贈呈  ご支援いただいた助成財団の皆様へ 12:00 昼休み(貴重な資料の展示や販売等もあります!) 13:15 II. 未来への展望 対談 未来への展望 障害者権利条約の目指す社会の実現に向けて 田門浩 国連障害者権利委員会次期委員/弁護士 & 国連障害者の権利条約推進議員連盟関係者等に依頼予定。 聞き手 藤井克徳 JDF副代表/日本障害者協議会代表 13:40 障害者基本法の改正に向けて 「JDF意見」のとりまとめと、改正への論点 田中伸明 JDF政策委員会委員長/日本視覚障害者団体連合 コメンテーター 黒岩海映 日本弁護士連合会 ほか 14:30 パネルディスカッション 総括所見の実施に向けて−JDFの役割 コーディネータ− 増田一世 日本障害者協議会常務理事、岡田久実子 全国精神保健福祉会連合会理事長 パネリスト  藤原久美子 DPI女性障害者ネットワーク代表 桐原尚之 全国「精神病」者集団運営委員 佐々木桃子 全国手をつなぐ育成会連合会会長 中西久美子 全日本ろうあ連盟副理事長 指定発言   若手当事者より予定 16:20 総括   竹下義樹(JDF副代表/日本視覚障害者団体連合会長) 16:30 閉会 お申込み方法 締め切り:11月29日(金)→延長して受け付けています。 1.下記より、ウェブフォームでお申し込みください。 https://forms.gle/sEph4Gyb79PbvsZP8 2.下記申込必要事項をご記入のうえ、Eメール等にてお申込みください。 --- 【JDF全国フォーラム 参加申込必要事項】 お名前(ふりがな): ご所属: Eメール(必須。書き間違いにご注意ください): ご連絡先(TEL、FAX等。Eメールが届かない時のご連絡に便利です): 参加形態 1.会場参加  2.オンライン参加(Zoomウェビナー) ※会場が満席の場合は、オンライン参加をご案内する場合がございます。 必要事項 ※必要な項目をお知らせください。 □手話通訳     □要約筆記   □テキストデータ(スクリーンリーダー用) □車いすスペース  □その他(                       ) □介助者等の同行〔 名〕 送付先: jdf_info@dinf.ne.jp --- ※ご提供いただいた個人情報は、本フォーラムに関するご連絡および今後のご案内等にのみ使用し、それ以外の用途には使用しません。 ※参加登録証などはお送りしていません。 オンラインでご参加の方には、お申込み後、ZoomウェビナーのURLをお知らせします。 ※会場参加の場合の昼食について:会場の戸山サンライズ周辺には複数の飲食店やコンビニがありますが、館内にはレストランはございません。移動に困難のある方等は、お弁当などのご持参をお勧めいたします。会場内、および館内休憩室にてお召し上がりいただけます。 参加費(資料代):1,000円 お申込み後に下記の方法でご送金ください。※介助者等は無料です。 ■銀行振込 振込先:ゆうちょ銀行 〇一九店(ゼロイチキユウ店) 当座 0354869 名義 日本障害フォーラム(ニホンショウガイフォーラム) ■郵便振替 振替先:00120−5−354869 加入者名 日本障害フォーラム ※恐れ入りますが、振込手数料はご負担ください。 ※お申し込み名義と振り込み名義が異なる場合はお知らせください。 ※詳細は、下記JDFサイトへ、または事務局までお問い合わせください。 ◆お問い合わせ 日本障害フォーラム(JDF)事務局 〒162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1 (公財)日本障害者リハビリテーション協会内 TEL:03-5292-7628 FAX:03-5292-7630 E-Mail:jdf_info@dinf.ne.jp https://jdf-hp.normanet.ne.jp/ 編集後記 今回は、JANNET会員団体の国際会議の様子をトピックスとしてお届けしました。 国内に本拠を置く団体として、国内での日頃の取り組みの蓄積が、国際交流を含む国際的な取り組みの場面でも生きてくるのだと感じます。 今年は、障害者権利条約を日本が批准して10年目の年でしたが、2022年に国連から出された日本への「総括所見」を踏まえて、国内での条約の実施が今後とも着実に進められるかが、引き続き問われています。 また今年は、障害者権利委員会の委員として、日本から、ろうの当事者である田門浩さんがトップ当選され、来年1月から任期が始まります。ぜひ日本の知見を、世界の条約の実施に生かしていただければと期待しています。 来年も引き続き、JANNET会員の皆様と取り組んでまいりたく、どうぞよろしくお願いいたします。 (原田 潔/JANNET広報・啓発委員) JANNET事務局では、会員の皆様よりメールマガジンに掲載する国際活動に関する情報を募集しております。団体会員様のイベント情報などありましたら事務局までご連絡ください。 JANNET障害分野NGO連絡会  〒162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1 公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会内 【JANNET事務局直通】 TEL:03-5292-7628 FAX:03-5292-7630 URL: https://jannet-hp.normanet.ne.jp/ 以上