JANNET障害分野NGO連絡会 メールマガジン 第259号 5月号 2025年5月30日発行 ―目 次―  トピックス 〜第25回「リハ協カフェ」登壇報告〜 1. 障害当事者が医学部で(障害について)教える、ということ 京都大学医学研究科 医学コミュニケーション学 岩隈 美穂 2. 協力隊まつりに参加して 成城学園高校2年生 大木 結衣 インフォメーション 1. 国連障害者の権利条約(UNCRPD)締約国情報 2. 第24期生成果発表会(ダスキン・アジア太平洋障害者リーダー育成事業) イベント情報 1. 第27回「リハ協カフェ」 2025年7月31日(木) トピックス 〜第25回「リハ協カフェ」登壇報告〜 1. 障害当事者が医学部で(障害について)教える、ということ 京都大学医学研究科 医学コミュニケーション学 岩隈 美穂 ※去る2025年3月11日に開催した、(公財)日本障害者リハビリテーション協会主催『第25回「リハ協カフェ」』にてご登壇いただいた内容を、まとめていただきました。   3月11日に行われた、リハ協カフェでの発表内容の概要を報告します。簡単な自己紹介の後、現在の教室の様子やこれまで卒業生たちが行ってきた研究、(ヘルス)コミュニケーションをミクロ・メゾ・マクロの視点で紹介しました。次に「障害について」教えている授業は、現在は学部の1回生向けのILASのみであることをお話ししました。実は着任当初は、もっと授業で障害(学)について、話していましたが、授業で障害について話し始めると、クラスの雰囲気が明らかに変わり、学生たちが緊張・硬直し、正しいことを感じ、考え、言わなくてはいけないという圧を感じているように見えたので現在はやり方を変えています。障がい当事者が、教員という立場で、障害(者・学)について教える・語るという行為は、私が思っていた以上に「薬が効きすぎる」ようでした。 現在は、「混ぜご飯」スタイルで、障害(者)の話を、ほかのテーマに混ぜて話しています。これは障害に関心・興味がない人にも聞いてもらったり、障害(者)とほかのグループが独立しているのではなく、むしろテーマが地続きである点を(さりげなく)話したりすることを目的としています。 次に大学院生を対象に、「Let’s共生」というゲーミフィケーションの授業での学びについて授業評価アンケート結果をテキストマイニングで要約し可視化しました。このゲームはCBRマトリクスをもとにリハ協が作成し、ツイントラックアプローチも重要な概念として紹介されています。使用されるニーズカードには、LGBTQ+や外国人といった様々なニーズをもった人たちの中に、障がい者が含まれています。 最後に今後について、メゾレベルでは、最近市内の小学校で講演活動を行うようになりました。大学で授業をするように話すと10分で飽きられてしまうので、学校と事前に打ち合わせをして、生徒たちが遊んでいる中、校庭に車を乗り入れさせてもらって、車からどうやって車いすを下ろしてトランスファーするのか、というところから見せています。 次にミクロレベルの活動では、メディア出演があります。障がい者が福祉番組だけでなく、例えばお堅い経済番組に白状をついて現れるとか、軍事の解説に車いす使用者が呼ばれる、といった「場違いな障がい者」が出てきて障害について一切触れないような番組作りがもっとされたらいいと思っています。何らかの専門家がたまたま障害を持っていたという「不意打ち」という戦略です。こんな場面で障がい者がいる、という「場違い」にたくさんの障がい者が越境していくことが必要だと考えています。 最後にまとめとして、障害当事者が医学部で(障害について)教える、ということは、思っていたよりも難しかったこと、そして今は「まぜご飯」のようにほかの話題に障害をまぜて話すようにしていること、最後に「場違いな障がい者」という戦略について触れて講演を終わりました。今回の講演が何かの参考になれば幸いです。     2. 協力隊まつりに参加して 成城学園高校2年生 大木 結衣 4月19日・20日の2日間、国際協力機構(JICA)市ヶ谷ビルにて「協力隊まつり2025」が開催されました。このイベントは、JICA海外協力隊の活動を広く紹介しながら、国際交流・国際協力・多文化共生・SDGsといったテーマについて楽しく学べる貴重な機会です。当日は、JICA海外協力隊の各OB・OG会によるブース展示やワークショップ、講演会などが行われ、多くの来場者でにぎわっていました。 私は今回、ボランティアとしてこのイベントに参加しました。担当したのは、野毛坂グローカルが主催する「誰ひとり取り残さない」をテーマにしたSDGsコンテストの紹介ブースです。このコンテストでは、高校生や大学生が文章やイラストを通じて、自分なりにSDGsの理念を表現します。特に、「誰ひとり取り残さない」という言葉が、自分の身近な課題として感じられるようになるきっかけを与えてくれる内容でした。 ブースでは、来場者の方々にSDGsに関するアンケートへのご協力もお願いしました。アンケートをきっかけに、多くの方と直接お話しすることができ、とても刺激的な時間となりました。 さらに、来場者だけでなく、他のブースに出展されていた方々との交流も印象に残っています。たとえば、発展途上国で医療活動を行う女性、安全な水を届けるために井戸や水道を整備する男性、車の修理を通じて地域の暮らしを支えている方など、さまざまな分野で国際協力に関わる方々とお話しすることができました。 分野や立場は異なっていても、「世界をより良くしたい」という思いで皆がつながっていることに強く感動しました。そして、今回の体験を通じて、「国際協力は特別な人だけがするものではなく、私たち一人ひとりにもできることがある」と実感しました。 協力隊まつりは、世界の課題と向き合い、行動する人々の姿に直接ふれられる貴重な場です。そこで出会った言葉や笑顔の一つひとつが、私にとって未来を考えるヒントになりました。来年もまたこの場が、多くの人にとって新しい気づきや出会いの場になることを願っています。そして、ほんの少しでもいいから、自分にも何かできるかもしれない。そう思えるきっかけとして、協力隊まつりを多くの人に体験してほしいと思います。 ******************************************************************************** インフォメーション 1.国連障害者の権利条約(UNCRPD)締約国情報 (関連サイト:http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/rights/right.html) 署名国・地域数164/ 締約国・地域数 192 (2025年5月末現在) https://treaties.un.org/Pages/ViewDetails.aspx?src=IND&mtdsg_no=IV-15&chapter=4&lang=en 2.第24期生成果発表会(ダスキン・アジア太平洋障害者リーダー育成事業)    第24期生4名が日本での学びと帰国後の目標について発表します。「ダスキン・アジア太平洋障害者リーダー育成事業」は、2024年9月に第24期生4名を日本に迎えました。希望に胸を膨らませて来日した4名は、日本で何を学び、何を感じたのでしょうか。 各研修生は日本での研修を振り返り、帰国後の目標や夢を語ります。4名の発表をどうぞお楽しみください。 みなさまのお申込みをお待ちしております。   ■開催日時:2025年6月14日(土)13時〜15時 ■会場:戸山サンライズ2階 大研修室(東京都新宿区戸山1-22-1) ■定員:80名 ■参加費:500円(介助者無料)※当日、会場にて現金でお支払いください。 ■申し込み方法:下記のリンクからお申込みください。  https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSfJqt7YjxZ1qSwFB_zqlFh9464R8KDFUjLty0xxR5QsAd9iig/viewform?usp=header    【プログラム】 ※当日の流れ等によって変更する場合があります。 13:00-13:10 開会の挨拶など 13:10-13:50 第24期生の成果発表会 *各発表の後、質疑応答の時間を設けます。 (前半) ・タスリマ・スルタナ・ミトゥ(バングラデシュ) ・カー・ウェイ・トゥワン (台湾) 13:50-14:05 休憩 14:05-14:45 (後半)  ・ラクシミ・クンワル(ネパール) ・ビャンバスレン・ブンチン(モンゴル) 14:45-15:00 閉会の挨拶など     ■使用言語:日本語・日本手話 ■情報保障:日本手話通訳・要約筆記    【事務局】 ご不明な点等ございましたら、以下の連絡先までお気軽にお問合せください。 日本障害者リハビリテーション協会 事業振興部人材開発課 〒162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1 TEL:03-5273-0633 FAX:03-5273-1523 Email:inquiry@dinf.ne.jp 本事業ウェブサイト:https://duskin-hp.normanet.ne.jp/        イベント情報 1.第27回「リハ協カフェ」 2025年7月31日(木) 日本障害者リハビリテーション協会の国際委員会では、国際協力分野において障害分野の課題に取り組んでいくため、情報発信を継続し、関係者への情報提供を行うべく、2020年8月よりリモートによる報告会「リハ協カフェ」を隔月で開催してまいりました。今回は第27回目の開催です。 第27回は、春名 由一郎氏(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター 前副統括研究員)より「職業リハビリテーションを学んで〜黄金期はこれから」について、また山田 雅穂氏(ダイバーシティ政策研究所所長/株式会社アデランス独立社外取締役)より「Disability-inclusiveな雇用とCSRとは−障害当事者の視点を活かして」についてご報告いただきます。 関係者以外にも広くご参加を募ります。皆様のご参加をお待ちしております。   ◆日時:2025年7月31日(木)13:30〜15:15 ◆会場:リモート開催(Zoom) ※要約筆記が入ります。 ◆主催:公益財団法人 日本障害者リハビリテーション協会 ◆共催:障害分野NGO連絡会(JANNET) ◆参加費:無料 ◆定員:100名 プログラム(敬称略) 13:30-13:35 開会挨拶 公益財団法人 日本障害者リハビリテーション協会 13:35-14:15 報告1 「職業リハビリテーションを学んで〜黄金期はこれから」 発表者:春名 由一郎氏(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター 前副統括研究員)   14:15-14:25 質疑応答 14:25-15:05 報告2    「Disability-inclusiveな雇用とCSRとは−障害当事者の視点を活かして」 発表者:山田 雅穂氏(ダイバーシティ政策研究所所長/株式会社アデランス独立社外取締役) 「四つのバリアの再考:国際比較研究成果ともう一つのバリア」(仮)      発表者: 土橋 喜人氏 ※調整中          (金沢工業大学情報デザイン学部環境デザイン創成学科 教授)           15:05-15:15 質疑応答 15:15    閉会 *プログラムの内容に変更がある場合がございます。ご了承ください。  【発表者プロフィール】 ・春名 由一郎 氏(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター 前副統括研究員) 東京大学医学部保健学科、大学院医学系研究科卒。博士(保健学) 1994年から2025年まで独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター研究員として、保健学、国際生活機能分類(ICF)をベースに、難病の就労支援、地域支援機関の就労支援人材の育成、諸外国の障害者雇用施策等の調査研究を実施。 人生100年時代、60歳をセカンドライフの10歳として、AIを相棒として、新しいことを勉強中。 ・山田 雅穂 氏(ダイバーシティ政策研究所所長/株式会社アデランス独立社外取締役) 【現職】 ・ダイバーシティ政策研究所所長 ・株式会社アデランス独立社外取締役 ・中央大学総合政策学部兼任講師 ・経営倫理士 ・専門社会調査士 【略歴】 法政大学大学院人間社会研究科博士後期課程 人間福祉専攻 博士(人間福祉)。 専門分野は障害者雇用政策、DEIB(Diversity, Equity, Inclusion and Belonging)、CSR、経営倫理、福祉政策。 【申込方法】 以下のサイト、またはFAXにてお申し込みください。 https://www.jsrpd.jp/cafe27/ 申込受付:2025年7月30日(水)15:00まで ※情報保障が必要な方は、7月22日(火)までにお申し込みください。 満員になり次第、締め切りとなりますので、ご了承ください。 お名前、ご所属、ご住所を明記の上、手話通訳、要約筆記、テキストデータなど必要があれば申し込み時にお知らせください。 参加登録された方へZoomのURLをお送りいたします。    【お申し込み、お問い合わせ先】 《公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会 国際課》 担当:村上・仁尾(にお) 〒162-0052東京都新宿区戸山1丁目22番1号 TEL: 03-5273-0601    FAX: 03-5273-1523    Eメール:kokusai@dinf.ne.jp 編集後記 インターネットに多くの人がアクセスするようになったころ、オンラインでのやり取りのメインは、電子メールだったように記憶しています。 その後、チャットやSNSなどコミュニケーション手段は多様化し、単なる文字情報だけではなく、画像や動画をやり取りするサービスが広がってきました。 そして仲良くなった人とはメアドを交換するよりも、Lineのアカウント情報を交換するということの方が多いかもしれません(言い過ぎでしょうか)。 最近個人アカウントのメールボックスをチェックすると、金融機関やカード会社、ネット通販サイトを語る迷惑メールで溢れ、受信即削除! というのが無意識の行動になっているのではないでしょうか。 そんな中、このメールを削除せず、ここまで読み進めてくださった皆さん、本当にありがとうございます! 次号以降も変わらぬお付き合いを、どうぞよろしくお願いいたします(ペコリ)! (伊藤 丈人/JANNET広報・啓発委員) JANNET事務局では、会員の皆様よりメールマガジンに掲載する国際活動に関する情報を募集しております。団体会員様のイベント情報などありましたら事務局までご連絡ください。 JANNET障害分野NGO連絡会  〒162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1 公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会内 【JANNET事務局直通】 TEL:03-5292-7628 FAX:03-5292-7630 URL: https://jannet-hp.normanet.ne.jp/ 以上