JANNET障害分野NGO連絡会 メールマガジン 第261号 7月号 2025年7月31日発行 ―目 次―  トピックス 1. 『全国キャラバン活動で共生社会の実現を!』 一般財団法人全日本ろうあ連盟デフリンピック運営委員会 事務局長 倉野 直紀 インフォメーション 1. 国連障害者の権利条約(UNCRPD)締約国情報 イベント情報 1. 第28回「リハ協カフェ」 2025年9月30日(火) トピックス 1. 『全国キャラバン活動で共生社会の実現を!』 一般財団法人全日本ろうあ連盟デフリンピック運営委員会 事務局長 倉野 直紀 全日本ろうあ連盟は今年11月、東京2025デフリンピックを開催します。デフリンピックは「デフ(Deaf:耳がきこえない)」と「オリンピック」を組み合わせた名称で、オリンピックと同様に4年に一度開催される、耳がきこえない・きこえにくい人のための国際的なスポーツ大会です。   〇デフリンピックの独自性と歴史 デフリンピックの競技ルールはオリンピックとほぼ同じですが、きこえないアスリートが安全に競技できるよう、独自の工夫が凝らされています。例えば、陸上や水泳ではスターターの音の代わりにフラッシュランプを使用し、サッカーでは主審が笛の代わりにフラッグを上げるなど、音声情報を視覚で伝達する仕組みが取り入れられています。   この大会は、1924年にフランスのウジェーヌ・ルーベンス=アルケー氏の提唱により、パリで初めて開催されました。アルケー氏自身もきこえないアスリートであり、当時の社会においてきこえない人々が差別され、手話言語が動物みたいだと嘲笑される状況に憤りを感じていました。彼は、きこえない当事者自身が国際スポーツ大会を運営することで、きこえない人の社会的地位向上と手話言語の理解促進を目指し、社会変革を起こそうとしたのです。   パラリンピックが第二次世界大戦の負傷兵のリハビリと社会復帰を理念として始まったのに対し、デフリンピックは「スポーツを通じた社会変革」という共生社会の実現を目指すという点で、出発点が異なっています。東京2025デフリンピックは、このアルケー氏の思いとデフリンピックの理念を受け継ぎ、「誰もが個性を活かし力を発揮できる共生社会の実現」を目標に掲げています。   〇 全国キャラバン活動 当連盟は、この共生社会実現に向けた取り組みを全国に広めるため、「全国キャラバン活動」を立ち上げました。今年6月に岩手県盛岡市で開催された「第73回全国ろうあ者大会inいわて」において、約3千人の参加者が見守る中、東京2025デフリンピックキャラバンカーの出発式セレモニーが行われました。 全国キャラバン活動は、以下の3つの柱で展開されます。   〈イベントキャラバン〉 全国各地のショッピングセンターなどでイベントを開催し、デフリンピックやデフスポーツの魅力を「見る、知る、体験する」機会を提供しています。すでに50カ所以上で開催され、多くの人々や子どもたちにデフスポーツの楽しさを伝えます。   〈学校キャラバン〉 子ども向けの教育プログラム「未来へつながるプログラム」を開発し、全国の小中学校で実施してもらうための講師(デフアスリート等)派遣事業を行っています。これにより、デフリンピックやデフスポーツ、そしてきこえないことや手話言語について学ぶ機会を提供します。   〈キャラバンカー巡回〉 2台のキャラバンカーが全国を巡回し、各地のイベントで東京2025デフリンピックのPR活動を行っています。キャラバンカーを目にした際には、ぜひ応援のメッセージを送ってください。   これらの活動を通じて、全日本ろうあ連盟は、東京2025デフリンピックを単なるスポーツイベントに終わらせず、きこえる人ときこえない人が共に活躍できる真の共生社会の実現に向けた大きな一歩とすることを目指していきます。     ******************************************************************************** インフォメーション 1.国連障害者の権利条約(UNCRPD)締約国情報 (関連サイト:http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/rights/right.html) 署名国・地域数 164/ 締約国・地域数 193 (2025年7月末現在) https://treaties.un.org/Pages/ViewDetails.aspx?src=IND&mtdsg_no=IV-15&chapter=4&lang=en イベント情報 1.第28回「リハ協カフェ」 2025年9月30日(火) 日本障害者リハビリテーション協会の国際委員会では、国際協力分野において障害分野の課題に取り組んでいくため、情報発信を継続し、関係者への情報提供を行うべく、2020年8月よりリモートによる報告会「リハ協カフェ」を隔月で開催してまいりました。今回は第27回目の開催です。 第28回は、宮原 秀彦氏(コクヨKハート株式会社/コクヨ株式会社働き方改革推進総務部)より「みんなでいきるをつくる」、また伊藤 智典氏(公益社団法人 日本理学療法士協会 理事/同 国際事業課 課長)より「四半世紀ぶりの日本開催、世界理学療法連盟学会2025を終えて」についてご報告いただきます。 関係者以外にも広くご参加を募ります。皆様のご参加をお待ちしております。   ◆日時:2025年9月30日(火)13:30〜15:15 ◆会場:リモート開催(Zoom) ※要約筆記が入ります。 ◆主催:公益財団法人 日本障害者リハビリテーション協会 ◆共催:障害分野NGO連絡会(JANNET) ◆参加費:無料 ◆定員:100名 プログラム(敬称略) 13:30-13:35 開会挨拶 吉田 正則(日本障害者リハビリテーション協会 常務理事) 13:35-14:15 報告1 「みんなでいきるをつくる」 発表者:宮原 秀彦氏(コクヨKハート株式会社/コクヨ株式会社働き方改革推進総務部) 14:15-14:25 質疑応答 14:25-15:05 報告2 「四半世紀ぶりの日本開催、世界理学療法連盟学会2025を終えて」 発表者:伊藤 智典氏(公益社団法人 日本理学療法士協会 理事/同 国際事業課 課長)           15:05-15:15 質疑応答 15:15    閉会 *プログラムの内容に変更がある場合がございます。ご了承ください。 【発表者プロフィール】 ・宮原 秀彦 氏 (コクヨKハート株式会社/コクヨ株式会社働き方改革推進総務部) 2016年11月、54歳で小脳出血を発症し、突然障がい者となりました。手術を経て一命は取り留めましたが、右手の不自由さ、歩行困難、バランスの悪さ、視覚の問題など、運動機能に大きな影響を受けました。当時は自分だけでなく、家族も大いに困惑したことと思います。 現在も高次脳機能障害による「疲れやすさ」や「激しい物忘れ」といった症状と日々向き合っています。それでも「普通に、楽しく生活したい」という願いを胸に、地道な訓練を続けています。物忘れが激しいため、時間はかかっても一つひとつ丁寧に取り組むことを心がけ、できることを増やしていく日々です。おかげで現在は杖で歩行でき、左手で手すりをつかめば階段も降りられるようになりました。 所属はコクヨKハート株式会社。BPOの業務として「コクヨ株式会社 働き方改革推進総務部 」の仕事をしています。特にセキュリティカードの貸し出し業務を、パソコン操作とコミュニケーションで行っています。hidehiko_miyahara@kokuyo.com です。新深江オフィス2階で勤務し、火曜午前中は6階作業ブースでインクルーシブデザイン家具の企画のオンライン定例会議に参加しています。オフィスでは避難訓練にも積極的に参加したいですし、防災への意識も高く持っています。 通勤には阪急電鉄と大阪メトロを利用しており、Transreport Japan社の介助リクエストWebアプリなど、公共交通機関のバリアフリー化の動きにも注目しています。 宮原の経験と学びを共有することで、障がいのある人もない人も、誰もが自分らしく輝ける社会を考えるきっかけとなれば幸いです。 宮原(みやはら)https://note.com/ikiruwotukuru          hidehiko.miyahara@gmail.com           ・伊藤 智典 氏(公益社団法人 日本理学療法士協会 理事・同 国際事業課 課長) 日本で理学療法を学び、イギリスの大学院で公衆衛生・健康増進の修士号を取得。 国内の病院勤務を経て、2004年からエチオピアの大学で教員として活動(JICA海外協力隊)。 軍病院やマザーテレサの家、国境近隣の村など、障害を持つ人が住みやすい環境整備にむけたコミュニティベースの活動を推進した。 2011年から理学療法士の学術・専門職組織、日本理学療法士協会でプロジェクトの企画、運営などに携わる。2023年から同協会の職員兼任理事に就任した。 また国際組織、World Physiotherapyのアジア西太平洋地区の執行委員、障害分野NGO連絡会(JANNET)の監事、日本障害者リハビリテーション協会の国際委員を務める。 障害を持つ人も持たない人も、皆が平和で幸せに生きることが出来る世界の実現を目指している。 【申込方法】 以下のサイト、またはFAXにてお申し込みください。 https://www.jsrpd.jp/cafe28/ 申込受付:2025年9月29日(月)15:00まで ※情報保障が必要な方は、9月19日(金)までにお申し込みください。 定員になり次第、締め切りとなりますので、ご了承ください。 お名前、ご所属、ご住所を明記の上、手話通訳、要約筆記、テキストデータなど必要があれば申し込み時にお知らせください。 参加登録された方へZoomのURLをお送りいたします。 【お申し込み、お問い合わせ先】 《公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会 国際課》 担当:村上・仁尾(にお) 〒162-0052東京都新宿区戸山1丁目22番1号 TEL: 03-5273-0601   FAX: 03-5273-1523    Eメール:kokusai@dinf.ne.jp   編集後記 デフリンピックについては、仕事柄注目はしていたのですが、倉野さんの原稿をお読みして、まだ知らないことがたくさんありました。 「スポーツを通じた社会変革」というのは、1920年代という時代背景を考えても、力強いビジョンですね。日本のスポーツ基本法や文化芸術基本法を見ると、前文や基本理念に、それらを行うことの権利などが高らかに謳われていますが、スポーツや文化芸術という分野は、そうした高らかなビジョンを抱かせる何かを持っているのかもしれません。 来月には、競技の観戦方法なども公表されるそうですので、ぜひご注目いただくとともに、関係者の皆さんにも積極的にご紹介し、共生社会について共に考える機会にできればと思います。 (原田 潔/JANNET広報・啓発委員) JANNET事務局では、会員の皆様よりメールマガジンに掲載する国際活動に関する情報を募集しております。団体会員様のイベント情報などありましたら事務局までご連絡ください。 JANNET障害分野NGO連絡会  〒162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1 公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会内 【JANNET事務局直通】 TEL:03-5292-7628 FAX:03-5292-7630 URL: https://jannet-hp.normanet.ne.jp/ 以上