JANNET障害分野NGO連絡会 メールマガジン 第265号 11月号 2025年11月28日発行 ―目 次―  トピックス 1. 「アジア太平洋障害フォーラム(APDF)2025韓国会議」報告 障害分野NGO連絡会(JANNET) 事務局長/日本障害フォーラム(JDF) 国際委員/公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会 情報センター長 村上 博行 2.国際リハビリテーション協会(RI)インド国際会議 参加報告 障害分野NGO連絡会(JANNET) 事務局長/公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会 情報センター長 村上 博行 インフォメーション 1.国連障害者の権利条約(UNCRPD)締約国情報 イベント情報 1.「JDF全国フォーラム」 障害者権利条約をめぐる世界の動向と国内課題〜次世代への取り組み 2025年12月4日(木) 2.第30回「リハ協カフェ」 2026年1月30日(金) トピックス 1. 「アジア太平洋障害フォーラム(APDF)2025韓国会議」報告 障害分野NGO連絡会(JANNET) 事務局長/ 日本障害フォーラム(JDF) 国際委員/ 公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会 情報センター長 村上 博行 2025年10月29日から31日までの3日間、韓国・ウルサンにて「アジア太平洋障害フォーラム(APDF)2025韓国会議」※が開催されました。本会議は、APDF事務局を担う韓国リハビリテーション協会が実施事務局を担当し、韓国「グローバルITチャレンジ・フォー・ユース・ウィズ・ディザビリティーズ」事業との共催により実施されました。日本障害フォーラム(JDF)※※はAPDFの日本加盟団体として、私が代表参加いたしました。 初日午前には、加盟団体による役員会および総会が開催されました(写真1)。役員会では、新議長としてMr. PT Lim(シンガポール)が選任され、日本からは情報委員会の副委員長として私・村上が選任されました(写真2)。   本大会のテーマは「能力の再定義 ― インクルーシブで自立した生活へのビジョンに向けて」、会議テーマは「障壁を打破し、未来を築く:障害のある人々のための包摂的でアクセシブルなアジア太平洋地域へ」でした。   参加者は約160名、51団体、15の国・地域からの参加がありました。障害当事者は、視覚・聴覚・肢体の各分野から約10名ずつ、計約30名が参加しました。なお、同時期にAPECサミット2025が開催されており、米国のトランプ大統領らが来韓していたため、空港の警備は非常に厳重でした(写真3)。   開会式では、長年にわたり事務局運営を支えてこられた松井亮輔氏(JANNET前会長・日本障害者リハビリテーション協会前会長・法政大学名誉教授)、上野悦子氏(JANNET前事務局長・同協会元国際部長)に対し、感謝状の贈呈が行われました。   セッションでは、以下のようなテーマが取り上げられました(写真4): - 「ジャカルタ宣言の実施における課題と機会」 - 「デジタル・インクルージョン、デジタル・アクセシビリティ、およびデジタル雇用」 - 「障害を含む持続可能な開発のための長期戦略の推進」他   閉会式では「APDFウルサン宣言2025」※※※が採択されました。開催議長を務めたジョセフ博士(香港)は、会議後に奥様と共に来日され、2025年11月12日に東京・新宿区で開催されたAPDF報告会にご参加いただきました。   なお、抄録集(原本)は年度内に発行され、日本障害者リハビリテーション協会のホームページに掲載予定です。ご関心のある方はぜひご覧ください。   ※アジア太平洋障害フォーラム(Asia Pacific Disability Forum, APDF)とは、アジア太平洋地域の障害者団体が連携し、障害者の権利推進を目的とする国際的ネットワーク組織です。2003年11月、シンガポールで開催された設立会議にて正式発足。 大会オフィシャルサイト:(https://apdfconference.org/)   ※※日本障害フォーラム(JDF)とは、障害者の権利を推進するために2004年に設立された、全国規模の障害者団体・支援団体によるネットワーク組織です。事務局は日本障害者リハビリテーション協会が担っています。   ※※※「APDFウルサン宣言2025」:(https://apdfconference.org/?cat=117)   2.国際リハビリテーション協会(RI)インド国際会議 参加報告 障害分野NGO連絡会(JANNET) 事務局長/ 公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会 情報センター長 村上 博行 2025年11月3日から5日までの3日間、インド・デリーにて「国際リハビリテーション協会(RI)※インド国際会議」が開催されました。本会議は、RIとインドのチャリタブル・トラストとの共催により実施されました。日本障害者リハビリテーション協会は、高齢・障害・求職者雇用支援機構とともにRIの日本加盟団体として参加しており、筆者は日本RI事務局長(National Secretary)として出席いたしました。 会議前日の11月2日には、RI加盟団体による総会が開催されました。到着後、空港を出ると大気汚染の影響で空は黒く覆われており、ホテルまでのタクシー移動には約2時間を要しました。途中、首相官邸付近ではマシンガンを携えた警官が警備にあたっており、緊張感のある雰囲気でした。運転手によれば、デリー市内は治安があまり良くないため、外出は控えた方がよいとのことでした。なお、帰国直後にはデリー市内で爆弾テロが発生し、死者が出たとの報道もありました。   会議はインド国際センター(IIC)にて、厳重な警備体制のもと開催されました。大会テーマは「能力の再定義 ― インクルーシブで自立した生活へのビジョンに向けて」でした。   参加者は約300名で、ほとんどがインド国内からの参加者でした。そのうち約8割が女性で、特別支援学校等の教員が多く、サリーと呼ばれる礼服を着用していました(写真1)。海外からはRI役員(ドイツ、フランス、中国)およびネパールからの参加があり、日本からはRI技術・アクセス委員会(ICTA)※※委員長の河村宏氏と筆者が出席しました。   障害当事者の参加者は、視覚・聴覚・肢体障害の方がそれぞれ約3名ずつ、計10名程度で、情報保障として手話通訳が手配されていました(写真2)。会場入口では、福祉機器関連企業3社(義手、IT関連)が製品展示を行っていました(写真3)。   インド側の共催者代表であるウマ・トゥリ博士は、チャリタブル・トラストの創設者であり、インドにおける障害児のインクルーシブ教育の先駆者です。同団体はデリーおよびグワリエル地域で活動を展開しています。   開会式では、トゥリ・ウマ博士、RI会長(ドイツ・グーテンブルナー博士)に加え、来賓としてインド社会正義・エンパワーメント省のビエルダ・クーマ大臣より祝辞が述べられました(写真4)。   会議では以下のようなテーマでセッションが行われ、インクルーシブ教育に関する報告が多数見られました。  - 「インクルーシブ教育:21世紀に向けての初期教育とは」  - 「幼児期ケアと教育:エンパワーメントと包摂の確保」  - 「課題と変化:高等教育機関におけるインクルージョンの進化」  - 「国連障害者権利条約(UNCRPD)第24条・第25条・第27条がリハビリテーションの成果に与える影響」 他   なお、抄録集は年度内に発行され、本協会のホームページに掲載予定です。ご関心のある方はぜひご覧ください。   ※国際リハビリテーション協会(RI)とは 1922年に設立された国際組織で、リハビリテーション・サービス提供団体、研究機関、障害者権利擁護団体、障害当事者団体、政府機関などで構成されています。事務局はニューヨークに所在し、国際シンボルマーク(車いすマーク)はRIによってデザインされました。 大会公式サイト:https://internationalconferenceajct2025.org/   ※※RIのICTAとは RIの技術・アクセス委員会(International Commission on Technology and Accessibility)の略称です。       ******************************************************************************** インフォメーション 1.国連障害者の権利条約(UNCRPD)締約国情報 (関連サイト:http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/rights/right.html) 署名国・地域数164/ 締約国・地域数 193 (2025年11月末現在) https://treaties.un.org/Pages/ViewDetails.aspx?src=IND&mtdsg_no=IV-15&chapter=4&lang=en    イベント情報 1.「JDF全国フォーラム」 障害者権利条約をめぐる世界の動向と国内課題 〜次世代への取り組み ●キリン福祉財団、SOMPO福祉財団、ヤマト福祉財団 助成事業● 2025年12月4日(木) 障害者権利条約の実施に関わる日本の初めての審査で「総括所見」(勧告)が出されてから3年が経ちます。 今年の全国フォーラムでは、国連障害者権利委員会からお2人の委員をお招きし、障害 者の人権を中心とする世界の最新動向を学ぶとともに、2037年とされる次回審査を展望し ながら、条約の実施を通じた国内での課題解決について話し合います。   ◆日時:2025年12月4日(木)10:00〜16:40(受付開始 9:20〜) ◆会場:全社協・灘尾ホール(東京都千代田区霞が関3-3-2 新霞が関ビル)      https://www.shakyo.or.jp/tsuite/access/index.html ◆情報保障:手話通訳、要約筆記、点字資料、テキストデータあり。 ◆参加費:1,000円 ※介助者は無料です。 ◆主催:日本障害フォーラム(JDF) ※公共の交通機関をご利用ください。 ※オンライン同時配信はございません。どうぞご了承ください。 ※終了後に一部記録を公表する場合があります。       【プログラム】 10:00     開会挨拶   阿部 一彦 (日本障害フォーラム 代表) 来賓挨拶・メッセージ  外務省、内閣府、国連障害者の権利条約推進議員連盟、全国知事会 10:20    基調講演   キム・ミヨン (国連障害者権利委員会 委員長)          11:50    特別講演   田門 浩 (国連障害者権利委員会 委員) 中間まとめ(講演を受けて)   藤井 克徳 (JDF 副代表/日本障害者協議会 代表)          12:35    昼休み(書籍やグッズの販売等も行います!) 13:35    JDF能登半島地震支援センターからのメッセージ 13:40    特別報告 東京2025デフリンピック(11/15-11/26開催) 倉野 直紀 (全日本ろうあ連盟/デフリンピック運営委員会 事務局長)          14:10    JDF 障害者基本法の見直しに関する検討報告 田中 伸明 (JDF政策委員会 委員長/日本視覚障害者団体連合 副会長) 崔 栄繁 (JDF政策委員会/DPI日本会議 議長補佐)          14:40    分野別報告とディスカッション 桐原 尚之(全国「精神病」者集団 運営委員) - 成年後見制度 藤原 久美子(DPI日本会議 常任委員) - 優生保護法 河原 雅浩(全日本ろうあ連盟 副理事長) - 手話言語 原田 直子(日本弁護士連合会) - 国内人権機関 コーディネーター 増田一世 日本障害者協議会常務理事 小幡恭弘 全国精神保健福祉会連合会事務局長 16:40    総括・閉会挨拶   竹下 義樹 (JDF副代表/日本視覚障害者団体連合会 会長) 【お申込み方法】  1.JDFホームページ(下記)から、ウェブフォームでお申し込みください。 <ウェブフォームはこちら https://forms.gle/YnFEQ1ivv3ZEuYDJ7 > 2.下記申込必要事項に記入のうえ、E-mailにてお申込みください。 <E-mail: jdf_info@dinf.ne.jp > ※参加登録証などはお送りしていません。 ※昼食について:会場の灘尾ホール周辺には複数の飲食店やコンビニがあります。 ホール内ではご持参されたお弁当などの飲食は可能です。(ロビーでは不可。) <申込必要事項> 1.お名前(ふりがな) 2.ご所属 3.E-mail (ご参加に関するご案内に使用します。書き間違いにご注意ください) 4.ご連絡先 (TEL、FAX等。Eメールが届かない時のご連絡に便利です) 5.必要事項 手話通訳・要約筆記・ヒアリングループ・点字資料・テキストデータ(スクリーンリーダー用)・車いすスペース・その他: ・介助者等の同行〔 名〕         ※ご提出いただいた個人情報は、本フォーラムに関するご連絡および今後のご案内等にのみ  使用し、それ以外の用途には使用しません。 【参加費:1,000円】お申込み後に下記の方法でご送金ください。           ※介助者等は無料です。 ■銀行振込 振込先:みずほ銀行 早稲田支店 普通 2060913     名義 日本障害フォーラム(ニホンショウガイフォーラム) ※恐れ入りますが、振込手数料はご負担ください。 ※お申し込み名義と振り込み名義が異なる場合はお知らせください。 ※参加登録証などはお送りしていません。  (開催間際に振り込まれた方は送金記録等をお持ちください。)   【お問い合わせ】  《日本障害フォーラム(JDF)事務局》 〒162-0052東京都新宿区戸山1丁目22番1号 TEL: 03-5292-7628  FAX: 03-5292-7630    Eメール:jdf_info@dinf.ne.jp ホームページ:https://jdf-hp.normanet.ne.jp/     2.第30回「リハ協カフェ」 2026年1月30日(金) 日本障害者リハビリテーション協会の国際委員会では、国際協力分野において障害分野の課題に取り組んでいくため、情報発信を継続し、関係者への情報提供を行うべく、2020年8月よりリモートによる報告会「リハ協カフェ」を隔月で開催してまいりました。今回は第30回目の開催です。 第30回は、藤井 剛氏(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者雇用開発推進部長)より「障害者技能競技大会(アビリンピック)について」、また佐野 竜平氏(法政大学現代福祉学部/人間社会研究科 教授)より「東南アジアにおける人馬のウェルビーイング」についてご報告いただきます。 関係者以外にも広くご参加を募ります。皆様のご参加をお待ちしております。   ◆日時:2026年1月30日(金)13:30〜15:15 ◆会場:リモート開催(Zoom) ※要約筆記が入ります。 ◆主催:公益財団法人 日本障害者リハビリテーション協会 ◆共催:障害分野NGO連絡会(JANNET) ◆参加費:無料 ◆定員:100名   プログラム(敬称略) 13:30-13:35 開会挨拶 吉田 正則(日本障害者リハビリテーション協会 常務理事) 13:35-14:15 報告1 「障害者技能競技大会(アビリンピック)について」 発表者:藤井 剛 氏(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者雇用開発推進部長) 14:15-14:25 質疑応答 14:25-15:05 報告2 「東南アジアにおける人馬のウェルビーイング」 発表者:佐野 竜平 氏(法政大学現代福祉学部/人間社会研究科 教授)           15:05-15:15 質疑応答 15:15    閉会 *プログラムの内容に変更がある場合がございます。ご了承ください。 【発表者プロフィール】 ・藤井 剛 氏 (独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者雇用開発推進部長)  <経歴> 平成10年4月 旧労働省(現厚生労働省)入省 平成14年8月 ドレスデン工科大学留学(ドイツのデュアルシステムを研究し、職業教育学修士を取得) 平成19年4月 東京労働局 職業安定課長(リーマンショック時の就労支援に係る現場指揮官を担当) 平成22年4月 在チェコ日本大使館 一等書記官(医療保険制度等に係る政府間交渉を担当) 平成29年4月 職業安定局 首席職業指導官室 室長補佐(がん患者等の就労支援に係る企画立案を担当) 平成30年4月 茨城労働局 職業安定部長(医療・福祉人材等の確保対策を担当) 令和元年4月 大臣官房 地方課 課長補佐(コロナの感染拡大に伴う帰国者支援を担当) 令和3年4月 兵庫労働局職業安定部長(コロナの影響を受けた企業と県民の雇用支援を担当) 令和5年4月 人材開発統括官 技能実習業務指導室長(技能実習制度の運用と見直しを担当) 令和6年7月 職業安定局 主任障害者雇用専門官(障害者に係る雇用率達成指導を担当) 令和7年4月 現職 ・佐野 竜平 氏(法政大学現代福祉学部/人間社会研究科 教授) アジアを中心に障害分野の国際協力に従事、その後、現職。 学生時代、北海道で初めて馬に関わる。大学の体育会馬術部関係者と一緒に、創部100周年を機に「人馬のウェルビーイング研究所」を設立。 障害のある人と馬が関わる活動の接点を追い求めて、アジア各地を探索中。 【申込方法】 以下のサイト、またはFAXにてお申し込みください。 https://www.jsrpd.jp/cafe30/ 申込受付:2026年1月29日(木)15:00まで ※情報保障が必要な方は、1月22日(木)までにお申し込みください。 定員になり次第、締め切りとなりますので、ご了承ください。 お名前、ご所属、ご住所を明記の上、手話通訳、要約筆記、テキストデータなど必要があれば申し込み時にお知らせください。 参加登録された方へZoomのURLをお送りいたします。   【お申し込み、お問い合わせ先】 《公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会 国際課》 担当:村上・仁尾(にお) 〒162-0052東京都新宿区戸山1丁目22番1号 TEL: 03-5273-0601   FAX: 03-5273-1523    Eメール:kokusai@dinf.ne.jp 編集後記 第4次アジア太平洋障害者の十年が2023年にスタートし、今年に入ってから、ESCAPの十年ワーキンググループ(域内20の政府と20のCSOで構成)が初めて正式開催されました。また、村上さんの原稿にもありますように、アジア太平洋障害フォーラム(APDF)の総会・会議も久しぶりに対面開催されました。コロナ禍を経て、少しずつ域内の交流も活発になることを期待します。 JANNETも、もともとはアジア太平洋地域に活動の焦点に置いてスタートした経緯があります。今は、インターネットが普及し、世界中の情報がたやすく入手できるようになったせいか、地域活動があまり活発でない印象もあります。 ただ、バーチャルではなく対面の活動となると、やはり旅費や移動などの面から、地域での活動は有利ですね。 ところで、日本で初めて開催された東京2025デフリンピックが、11月26日に閉会しました。競技会場には予想を上回る28万人の観客を集めたそうです。私は26日に開かれた閉会式に参加させていただきましたが、世界の人たちが一堂に会することのよさを、改めて感じたところです。   (原田 潔/JANNET広報・啓発委員) JANNET事務局では、会員の皆様よりメールマガジンに掲載する国際活動に関する情報を募集しております。団体会員様のイベント情報などありましたら事務局までご連絡ください。 JANNET障害分野NGO連絡会  〒162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1 公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会内 【JANNET事務局直通】 TEL:03-5292-7628 FAX:03-5292-7630 URL: https://jannet-hp.normanet.ne.jp/ 以上