国連総会において、日本政府代表団が障害と開発について積極的に発言してくださるようお願い申し上げます。
障害分野はMDGsの達成の目標には具体的な文言としてははいりませんでしたが、2015年までの達成およびポストMDGsにおける開発目標にぜひとも以下の点を加えてくださいますようお願い申し上げます。
2006年12月に国連総会で採択され、2008年5月に発効した障害者権利条約の第32条では国際協力として、障害インクルーシブな開発が書かれています。人権の視点を開発に盛り込んで実践されることが重要です。
開発のあらゆる分野に障害の視点を加えた協力事業が実践されますようお願いいたします。それには企画の段階から、障害者、家族、支援者などの障害関係者が参加することは欠かせません。それには開発セクターのあらゆる分野の関係者との連携が必要と考えます。
障害インクルーシブな実践は、保健、教育、生計、災害、紛争などにおけるコミュニティレベルから国レベル、地域レベルでも行われることにより、地域社会の中で、障害者も含め、だれひとり排除されないことを確実にします。
具体的な実践方法については、2010年にWHO,ILOなどが共同で発表した、CBRガイドラインがあります。CBRガイドラインの原則は障害者権利条約の一般原則を採用しており、地域社会での実践のために障害のある人、家族、コミュニティのかかわりが重要であること、CBRを単なるリハビリテーションではなく、災害時の対応を含む、障害インクルーシブな開発の具体的な方法としてくわしく書かれてあります。障害分野で国際協力を行う人たちにCBRガイドラインへの理解を深めるよう取り上げていただきたい。
国連ESCAPは、2012年10月29日〜11月2日韓国のインチョンで、2013年から2022年までの新障害者の十年を設立し、政策文書としてインチョン戦略を採択しました。インチョン戦略には権利条約の推進、社会開発の視点での実践が盛り込まれています。ぜひインチョン戦略をポストMDGsと障害の視点に盛り込んでいただきたい。
また2013年5月15日、16日にバンコクで行われた、ポストMDGsに関するアジア太平洋地域からのインプットにはJANNETからは、CBRアジア太平洋ネットワークをとおして参加し、意見を入れてもらうことになりました。この文書も障害と開発に関して重要であると認識していますので、ポストMDGsに取り上げてくださるようお願いします。
障害分野では、JICAが途上国での障害者支援の方針として、ツイントラックアプローチを採用しています。障害に特化した支援であるエンパワメントと、多くの他の分野に障害の視点を入れる、メインストリーミングです。障害インクルーシブ開発ではメインストリーミングでの実践を促進することです。ポストMDGsではぜひメインストリーミングを国際協力の一環として強調していただくようお願いします。
JANNET、公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会、CBRアジア太平洋ネットワークは共催により、2015年9月1日ー3日まで、東京で表題の会議を開催することになりました。この会議のテーマは、 Community-based Inclusive Development for Post 2015です。障害インクルーシブな開発の具体的な事例を収集し、この会議の成果として提言する予定です。ぜひご協力くださいますようお願いいたします。
以上。